2014年02月16日
●続和文解釈入門第368回
『クマムシ博士の「最強生物」学講座』(堀川大樹、新潮社、2013年)を楽しく読んだ。著者はNASAでも働いたことがあるクマムシwater bearの権威である。クマムシは科学技術未来館にガイドの仕事で行った時にぬいぐるみが可愛かったので気にはなっていた。クマムシは、マイナス273度の低温、プラス100度の高温、人の致死量の約千倍に相当する線量の放射線を浴びても弱るかもしれないが、生き残る。さらにアルコールなどの有機溶媒、紫外線、水深一万メートルの75倍に相当する圧力や真空など様々な種類の極限のストレスに耐えられる最強の生物であり、体長0.1 – 1.0 mmで4対の肢を持ち、寿命は1~2カ月であり、水生生物で、乾眠ангидробиоз, высушивание(体の水分を0~3%にしても、水を加えると蘇生する)という能力で生き延びるらしい。千種以上いるらしいが、中でもヨコヅナクマムシはメスしかいないという。昆虫ではなく、緩歩動物тихоходки(クマムシというロシア語がなく、この単語で代用せざるを得ないと思う)である。ぬいぐるみも研究費を集めるためというので、ぜひご興味ある方はネットで見てほしい。かわいいことはかわいい。
出題)「行って下さい、追いつきますから」をロシア語にせよ。
Идите вперёд.Я догоню вас.
よろしくお願いします。
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正解です。ただвперёдは前線で攻撃せよとか、登山などでアタックせよというのでない限り、日常会話では不要です。私の答えは、Ступайте, я вас догоню.
Идитеとしてもよい。促しの用法。
Пойдите первым, так
как я догорю вас.
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完了体命令形を使っていますが、これだと、聞き手が「行け」という動作を予想していないと話し手が理解していることになります。休もうと体をイスに下ろした瞬間に言われれば、確かに行けという完了体命令形が出てきてもおかしくはないでしょうが、二人一緒に歩いていて、あるいは立ち止まっていて、いずれにせよ歩くということが予想される場面というのが普通でしょうから、そういう場合には促し(着手)の不完了体命令形を使うべきです。それと、会話でтак как (= потому что)というのは、理由を説明するときに使うのですが、「先に言ってください。その理由は私があなたに追いつくからです」などと言うでしょうか?これは取るべきです。
Идите, не ждая меня, пожалуйста. Я нагоню опоздание. (догоню вас.)
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色々書いてありますが、Идите, я догоню вас.が正解です。нагнатьにも追いつくという意味がありますが、特に意識せず、気がついたら追いついたとか、追い抜いたという意味です。догнатьは追いつこうとして、精一杯足を速めて追いついたとシノニム辞典にはあります。