2014年02月08日
●続和文解釈入門第360回
『三訂和文露訳入門』9-2-2項に下記追記願う。
с + 造格(動名詞ないしは時に関係する名詞)で「~してすぐ」という意味を出せる。
(状況は父の死の直後変わった)Положение изменилось со смертью отца. <после смерти отца だと父の死の直後というニュアンスはないが、сразу послеとすると直後という意味になる>
(ヒットラーが政権に就いてから2カ月後にベルリンで会議が行われた)Через два месяца после прихода к власти Гитлера, в Берлине состоялось совещание. <直後ではないためс + 造格は使えない>
同じс + 造格でも、後に続く動作をс последующим (-ей, -ими) + 動名詞の造格という形で、動作の順序を逆転させて示すこともできる。これは9-8-3項のчтобыのように、結果の意味への転用と考えることもできる。
(車検はモスクワ公共事業部が実施した後、ナンバーが交付された)Технический осмотр автомобилей с последующей выдачей номеров производили Технический отдел Московского коммунального хозяйства.
出題)「彼がつけ上がるようなら、たしなめなさい」をロシア語にせよ。
Если он зазнаётся,
сделай ему выговор.
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зазнаётсяというのは不完了体の現在形ですから、現在の反復(規則的、多数回の)を示しており、それを叱責しなさいと完了体未来形を使うのは文法的におかしいとおもいます。完了体未来形のзазнаетсяなら、偶発的反復として分からないことはないのですが、偶発的反復というのは、動作が起こらない場合もあるということです。つまり、「つけあがる」というような動作の場合は、規則的反復を使ったほうが自然だと思います。私の答えは、Если он будет заноситься – одёргивайте.
命令法には時制の区別がないので、未来における反復命令にも不完了体命令形が使える。Если以下の従属節が未来の時制の反復を示している。
Если он станет высокомерным,надо упрекать.
よろしくお願いします。
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全体的に硬い表現だということは別にして、従属節がстанетと完了体なのは偶発的反復ということでしょうが、そうであれば、主節が不完了体不定形で規則的反復になっているのはおかしいように思います。出題の動詞の語義から判断して、規則的反復でとういうすべきだと思います。
Если он соберётся использовать наше слабое место, то проучите его.
例示はсов。
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和露を見たのかどうかは別にして、完全に作った文です。語結合的に「つけこむ」という意味なら、пользоваться, злоупотреблятьを使うほうが自然です。собираться/собратьсяは「~するつもりである」ということですから、理性的な意向を示しています。出題は「つけあがる」は本人の感情や気分、癖を示しており、無意識であり、また感情的なもので、理性的に制御できないという意味で不完了体を使うことになると思います。また意向には考える時間が必要という意味でсобратьсяというような完了体(完遂の用法)は語義的に使いにくいと思います。