2014年01月12日

●続和文解釈入門第334回

『三訂和文露訳入門』9-9-2項に下記追記願う。

 этоもчтоのように前の文全体を受けるときには主語や述語となるという関係代名詞的な役割を果たす時があり、「このこと、そのこと」という意味で主格として主語に立つときは動詞または形容詞であらわされた述語はэтоに対応し、中性単数形を取る。

(前線へ、弾丸の下へ(行け)!これで高慢ちきがちゃんと直るというものだ)На фронт! Под пули! Это хорошо лечит от зазнайства.
(春が来る。我々にはそれが嬉しい)Начинается весна. Мы радуемся этому.

これから派生した用法だと思われるものに、関係代名詞から同格(イコールという記号を思い浮かべるとよい)へと移行したと思われる9-7項の強調構文がある。

(朕は国家なり)Государство – это мы. <9-6項の人称の転用の例でもある>

 ここから先行詞を取ると、あたかもэтоが主語のように見えるが、上の例から分かるように同格由来の述語だが主格であり、不変化の指示代名詞となったと考えることもできる。ゆえに文法上の主語は下に示すような文で示されることになる。

(これが私の子供たちだ)Это мои дети. <文法的には「私の子供たち」が主語である>
(これは教科書だった)Это были учебники. <文法的には「教科書」が主語である)>

これは〔私は医者です〕Я врач.のような合成名辞述語は、過去や未来の時制において造格を取るのが普通だが、過去の時制ではЯ был врачом.と造格を取る場合もあるし、Я был врач.と同格を意識して主格を取る場合もあるが、口語では造格を取る場合が多い。永続的な状態を示す名詞では主格が、一時的・暫定的状態を示す名詞の場合は造格が来るのが一般的である。未来の時制では未来自体が不確定ということもあってか、造格を使う場合がほとんどであり、主格を使えば古めかしい感じがする。造格は格自体、主格と形が違うということから、一時的な変化のニュアンスを担っているということかもしれない。ちなみに述語が形容詞なら永続的な状態を示す場合は形容詞の長語尾となり、主格でも造格でもよい。一時的・暫定的な状態は一般的に形容詞短語尾を使う。

(好天だった)Погода была хорошая (хорошей). <口語では主格、書き言葉では造格を用いるのが普通である>

出題)「お時間の方はどうですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2014年01月12日 07:59
コメント

Как время позволяет?
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ご回答だと「だれの?」という疑問がわきますし、「どのように」という意味に取られかねません。ただ、語結合的には正しく、例えば、Если позволит время, я к тебе обязательно завтра зайду.(時間が許せば、明日きっと寄るよ)という文でも、主文で誰に対しての話しかが分かるようになっています。私の答えは、Как у вас со временем?
電話などで「今お時間は大丈夫ですか?」とか、用談中に話が長くなって、という感じである。「~の具合はどうですか?」というときに、Как у вас с водопроводом?なら「お宅の水道の調子はどうですか?」という意味に使えることから分かるように、この言い回しは万能に近い力を発揮するので覚えておくとよい。

Posted by ブーチャン at 2014年01月12日 08:06

未来のスケジュールについて詰めているととりました。
В коком часу вам удобно?
よろしくお願いします。
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「何時ならご都合がよろしいですか?」と取ったわけですね。私の解釈とは違いますが、それはそれで正解です。このудобноは遂行動詞的な用法で、遂行動詞を使えば、Какое время вас устраивает?
となり、この他にも次のような文が使えます。
Какое время для вас удобнее?

Posted by yama at 2014年01月12日 08:53

Время вас устраивает?
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正解です。yamaさんと同じ解釈ですね。

Posted by ブーチャン at 2014年01月12日 13:24

Будет ли какая-то проблема со времени?
Как вас устраивает время?
スケジュール調整等で、この時間でよいかと確認するときの言い方のつもりです。
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最初の文はс + 造格(生格ではなく、多分タイプミスでしょう)を使えば、発想としては正しいと思います。問題は-тоです。これは『三訂和文露訳入門』10-13項で説明しているように、何か特定のものであり、言葉で説明できなくともイメージとして明確なものか、言葉で説明できるが、言いたくはないものということになります。これでは何かの問題(夫婦間であるとか、戦争とか、受験とか)が、言葉では言わないが、話し手に分かっていることになってしまいます。出題は問題があるかどうかすら分からにのですから、使うとしたら-нибудь(-либо)となりますし、疑問文なら、普通はкакだけにしておけばよいのです。Будетを使うと、今ではなく、未来ということになってしまいます
 二つ目の文を直訳すると、「その時間はあなたをどのように満足させますか? → どのようにその時間でご都合がいいですか?」となり、都合がいいかどうか、yes or noで聞けばいいものを、「どのように」とすることで、おかしな文になっています。какは取るべきです。どうしてもКакを入れたいのなら、Какの後にカンマか疑問符を入れ、二つの文にするしかないでしょう。

Posted by ゴ at 2014年01月12日 17:29
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