2013年12月14日

●続和文解釈入門第305回

スマホというのは便利なものらしいが、私が持っているのはガラケー(ガラパゴス携帯の略で、電話やメールだけの機能の携帯、従来型とも言う)だけである。この前ガイドの時にロシア人の客からなぜスマホを持っていないのかしつこく聞かれた。ガイドを執事代わりと思っている客も多いから当然なのかもしれない。客の要望に応えるためにはスマホが必要だろうという論理である。客の喜びそうなある程度のレストランや店ならある程度は知っているし、知らなければ、ハイヤーなら運転手に、そうでなければ妻に電話してパソコンで調べてもらうと答えておいた。ガイドであれば、行くところはある程度事前に決まっているわけで、スマホで調べたとしても、その情報が新しいという保証はない。

 NHKのニュースによると主婦や働き盛りのサラリーマンにガラケーの人気が出ているという。これは料金が安いのと、スマホは機能が多すぎて間違いやすく、仕事なら電話とメールだけに絞った方が使いやすい、電池の持ちがいいということかららしい。2013年12月11日付の読売新聞朝刊によると2013年ではガラケーの市場占有率は4割であり、今後も2割から3割らしいので、個人的には一安心である。

 外出でネットサーフィンもしないし、ゲームもしないのでますますスマホを買う意味がない。将棋やチェス、チェッカーのルールは知っているし、若い時はしたこともあるが、宝くじも買わないし、競輪競馬もしない。宝くじを買わないのは、自分には当たり運がないと確信しているからである。これまでの一生を考えると、私は宝くじを買っていないのだから、その期間平均的な日本人が勝った宝くじの金額が、私の儲けと理解している。日本で1億円当たる人は毎年何人か出ることは理解できるが、それが私になるとは絶対に思えないと確信を持って言える。賭けてもいい。競馬はモスクワで見聞を広げるため、1度だけ行って予想紙を買い、馬券を買ったが外れた。なぜゲームをしないかというと、凝り症なので始めると徹底的にやらないと気が済まないたちだからだ。それと若い時から和露の語彙集を作っていて、これもある意味原始的なゲームである。語彙は増えて行くのみならず、似ているもの、訳がおかいしいと思ったものは削る。この作業に(ロシア語の本を読んで面白そうな語彙を収集する時間も入れると)今でも5~6時間かかる。だからゲームをする閑がない。このゲームは原始的ではあるが、世の中に一つしかないし、ユーザーも私一人である。そこがいい。スマホでも私の語彙集は(15.7メガバイトある)入れられそうなので、通訳するときに必要性が出てきたら買うのに吝かではない。

出題)「でも、たしかこの件について申し上げませんでしたっけ?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年12月14日 08:24
コメント

Все же, неужели я не
сообщил вам по этому
поводу ?
----------------------------------
文法的におかしいところはありませんが、実際の会話で使うとしたら、かなり切り口上的です。私の答えは、Но я, помнится, не сообщал вам об этом?
 これをビジネス会話として考えると、話し手が「言った(申し上げた)」を強調する(主観的ニュアンスを出す)と、言ったはずなのに、聞き手が「聞かなかった(忘れたか、言うことに注意を払わなかった)」となり、実際に前に伝えたかどうかは別にして、非常に失礼な感じになってしまう。そのため、聞き手の気分を害さないようにするためには、言ったかどうかは問題ではない(重要ではない)、つまり動作の有無の確認をしているだけだということにして、相手の顔を立てるようにしないと、ビジネスの交渉では聞き手に対して無礼のように響く可能性がある。会話というのは具体的な状況や文脈(コンテクスト)というのが必ずあり、そういう面も配慮しないと交渉は成り立たない。与えられた状況に沿った動作や、習慣的に期待されている動作をするというのは不完了体の本質であるから、この場合不完了体を使うのが自然である。ただ交渉ごとではなく、そういう遠慮の要らない間柄の話なら、完了体も使えるということになる。
 また動作の否定であり、そのことからも不完了体を使うことが自然であるということは言える。この出題の構文を理解するためには、聞き手から予想される返事を考えてみるとよい。肯定的な返事であれば、「聞いたことがあります(不完了体過去形の経験の用法)」となるはずである。もし完了体過去形を使って、Да, вы мне об этом сообщили.であれば、結果の存続であるから、情報について知っていることになり、知っている人が、この件について問いただす事はあり得ないということになり、完了体過去形ではなく、不完了体過去形となるはずだということが理屈としてお分かりになるだろう。また否定的な返答「聞いたことがありません」も同様である。ともに経験の用法であり、動作の有無の確認ということになる。出題の疑問文を仮にロシア語でне сообщилとすると、主観的なニュアンスが出てきて、否定の強調か、否定文における結果の存続(動作の未遂行)となり、私が伝えていないとでもいうのかという失礼なニュアンスとなり、日本語の出題とは矛盾することになる。помнится = как будто = кажется。

Posted by ブーチャン at 2013年12月14日 09:27

Но мне кажется,что я об этом уже вам сказал,нет?

よろしくお願いします。「たしか」の意味を、「言ったと確信しているが、相手にそれを突きつけるのではなく婉曲に伝えたい」と解釈しました。
----------------------------------------
お答えを和訳すると、「これについてすでに申し上げましたように思われますが、違いますか?」となり、最後のнетをユーモラスなイントネーションにするとかで、印象を和らげることは可能ですが、кажетсяがあるにせよ、イントネーションを考えなければ、かなりきつい言い方です。完了体を使っているために、主観的ニュアンスが出ているからだと考えます。通訳は語彙も、ニュアンスも正確にということは、それが可能であれば、建前上そうだと言えますが、現実の交渉事では、礼儀に外れず、できるだけ悪い印象を与えるような感情を排して、理詰めに交渉事を続ける手伝いをするというのが通訳の役割だと思います。小説やドラマの翻訳・通訳はニュアンスも含めて、語彙も正確に訳さなければならないのと対照的だと言えます。ですからお答えは、正しいと言えば正しいのですが、交渉事の通訳をする上では、私ならそういう訳はしないということになります。

Posted by yamaguchi at 2013年12月14日 11:35

Но, я думаю, что я, верно, об этом уже вам говорил.
行為の有無だからнесов。
------------------------------
正解ですが、верноは抜いたほうがいいと思います。

Posted by ゴ at 2013年12月14日 23:40

(お題)
でも、たしかこの件について申し上げませんでしたっけ?
(コーシカ訳)
Но мы, скорее всего, говорили Вам об этом (деле)?

行為の有無を尋ねる不完了体過去です。

露露辞典のアプリというのも結構あるようですよ。
http://medomedospot.blogspot.jp/2013/01/blog-post_16.html
まぁでも、調べるとかなりの確率で入力作業が発生するため
容量がヘボく打ちにくいスマートフォンやタブレット持つ余裕も意思もないですね。
利点は
・起動が速い
・本体が軽い
・Google mapがどこでも使えて便利
くらいでしょうか。
外出先でワードやエクセルが見られる!と喜んでる人もいますが
そんなもん外出先で閲覧できてしもたら「今出先なんで」言うて逃げられへんやろ!
---------------------------------
正解ですが、скорее всего = вернее всего, наиболее вероятноですから、十中八九、まず間違いなくという意味なので、この出題には意味が強すぎると思います。

Posted by コーシカ at 2013年12月14日 23:54

Но, наверное, я Вам не говорил об этом деле?
--------------------------------
正解ですが、個人的にはнаверноеでもきつい感じがします。кажется, может (быть)ぐらいがよいのではと思います。

Posted by Ml at 2013年12月15日 03:41
コメントしてください