2013年12月03日
●続和文解釈入門第294回
ロシア語における体の使い分けというのも初めからできたわけではあるまい。徐々に今のような形になったのではあろうが、そのうちに法則性ができ、完了体、不完了体の本質というのが完成されたと思われる。ロシア人は無意識のうちに体の使い分けをしているはずで、40年かけて私が集めた多くの例文から判断して、その基準が動作の完了か、そうではないというような単純なものではなく、完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージするというものだと結論付けたわけである。
出題)「彼女はその作文を一番初めに読んだ」をロシア語にせよ。
Она самая первая
прочитала это
сочинение.
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正解です。ただロシア語には日本語同様冠詞がないので、文脈により定冠詞と不定冠詞は分かります。ですからいちいちэтоをつける必要はありません。私の答えは、Она прочитала письменную работу самой первой.
「一番初めに」というのはпервыйを主語に合わせて主格に置くか、造格に置くか、из первыхとするかなどの方法があり、самый (самая)をつけると強調のニュアンスが出ます。この場合完了体過去形が来ているのは、学校の作文程度ですから、読み終えるという前提があるからです。
Она первый прочитала тот сочинение.
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構文的には問題はないのですが、短文で2つ凡ミスがあるというのは問題です。それぞれпервая (первой)と тоにすべきですが、тоは英語のthatや日本語の「それ、あれ」に必ずしも対応しているわけであはりません。『三訂和文露訳入門』10-12-1項参照願います。
Она прочитала это сочинение прежде всего другого.
人はмн. で、物はед.と覚えましたが…。
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人は複数всеで、ものは単数всёということでしょうか?お答えは他人(一人の)より先に読んだというのですから、違います。прежде всех(あまり使わないと思いますが)やраньше всехなら可能性があります。
Она читала это сочинение в первую очередь.
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「誰よりも早く」ではなく、「手始めに」と理解されたわけですね。それはそれでけっこうですが、最初に、初めてというのは過去の動作を一点でとらえていることになります。そうなるとアオリスト的用法ということで完了体を使うのが自然だと思います。ただчитатьは本源動詞かそれに近い動詞で、прочитать(読了する)よりも読むという意味では広い意味を持っていますから、使えないことはないと思います。
(お題)
彼女はその作文を一番初めに読んだ
(コーシカ訳)
Она прочитала сочинение впервые.
完了体過去によるアオリストを使うと考えます。
「一番」は「誰より先に」の意味で捉えました。
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впервые = в первый разですから、誰よりも先にではなく、生まれて初めてという感じです。