2013年11月25日
●続和文解釈入門第286回
体を選択する上で、確率に頼ろうとするのは体の本質が分かっていない証拠である。フォーサイス先生でさえ、第224回に書いたように不完了体不定形の使用が多いと述べられているのは、体の使い分けでご自分が説明できないことを確率で処理しようとなさったからかもしれない。しかし、これも切迫感という不完了体の用法であり、体の本質が分かれば、ニュアンスも含めて特定の文脈に用いられる体は厳密に言えば一つしかないわけで、安易に確率に頼ろうとせず、体の本質を理解するようにした方が、結局のところ正しい和文露訳への早道である。しかし、現実の通訳では考える時間がないというのも事実であり、そういうときには確率を使わざるを得ない場面も生じるが、これとて『三訂和文露訳入門』の各用法をマスターすれば、その確率を高めることができる。
出題)「何かあったら、俺はいつでも連絡が取れるようになっているから」をロシア語にせよ。
В случае, если
что-нибудь произойдет, я любое
время буду в прямой
связи с вами.
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будуなので今現在ではないということになり、これでは困ります。それとв связи с + 造格というのは「関係(関連)で」という意味で、連絡があるという意味はありません。私の答えは、Если что - я на связи.
これは『三訂和文露訳入門』3-1-3-5項に関連しますが、現在の時制で状態(の動詞)が今現在も含めての現在から未来への継続(反復)を示すことができる例です。
(お題)
何かあったら、俺はいつでも連絡が取れるようになっているから
(コーシカ訳)
Если что-нибудь случится, то со мной можно всегда связываться.
第82回、228回出題を参考にしました。
случитсяは完了体未来による例示的用法です。
могутと不定人称文にしても意味は変わらないと思います。
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正解ですが、なぜ不定人称文が出てくるのか理解に苦しみます。これは二人称が主語(あるいは意味上の主語)と考えるのが普通だと思います。不定人称文というのは動作主があるが、主語が1人称や2人称ではなく、3人称の単数でもなく(これらはすべて特定の主語ということになります)、また特定の3人称の複数でもないというのが前提です。
Если что, ты сможешь со мной связаться.
もしものときはсов。
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例示的用法とおっしゃりたかったのでしょう。いずれにせよ、例示的用法の完了体未来形は今現在の動作を示すことができません。
Если что, я всегда буду на связи.
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惜しいですね。出題の会話の時点で連絡はついているわけで、これも含めていつでも連絡が取れるという意味です。そうなるとбудуですから、今現在は連絡が取れないし、一旦連絡が途切れて、それから連絡をつけるということになります。