2013年11月05日
●続和文解釈入門第266回
動作を示す「なくなる」にはсойти на нет, вывестись, прекратить своё существованиеなどいろいろの言い回しがあるが、нетを使っても次のように言える。これなども状態の動詞が結果の存続にも使える例であろう。
(チョキン、チョキン、すると茎や葉っぱはなくなった)Чик-чик! - нет ботвы.
出題)「それを見た人は忘れない」をロシア語にせよ。コメントや私の回答が1日、2日遅れる可能性がありますが、悪しからず。
(お題)
それを見た人は忘れない
(コーシカ訳)
1) Кто увидит это, тот не забудет.
2) Если человек увидит это, то он не забудет об этом.
3) Кто увидит это, тот не забыл.
第177回出題、9-2相対時制の例文を参考にしました
1) 4-2-2完了体未来による順次的用法です。
2) 4-1-1-9からЕсли человек будет видетьも考えましたが、
「見る」と「忘れない」との関連を示し、話し手の確信が強く出る
完了体未来形を続ける順次的用法の方が適しています。
3) 時制の転用も可能と思われます(和文解釈第512回の出題も参考にしました)。
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この出題は相対時制が狙いというのは正解です。ただ「見た」という動作が先であることは明らかですから、3)は間違いです。1)と2)は正解です。私の答えは、Кто это видел, тот не забудет.
Те, кто увидел это, не забудут его.
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正解です。
3)の文について質問をさせてください。
完了体未来 + 時制の転用で過去形の形をした完了体未来 → 順次的用法?
と思っての投稿だったのですが
和文解釈第512回の文とは文脈が異なるなどの理由で不適切なのでしょうか。
この回答は9-2相対時制の中ほどにある下記例文を流用ました(和文解釈第512回出題):
打数の少ない人間が勝つ Кто меньше ударов сделает, тот и выиграл.
この例文は本当なら、先に勝ってからより少なく打つ、という意味になってしまうように思います。
なぜ後から起こるはずの「勝つ」がвыигралと過去形なのか未だに不思議なのですが
和文解釈第512回にてさとうさんのご説明から
時制の転用で見た目は完了体過去、実際の機能は完了体未来
よって先行する動詞сделалиの動作が先に起こり、
(過去形の顔をして実際には未来形の)выигралの動作が後続する、と理解し、流用しました。
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このゴルフについての例文はВрангель船長の冒険の中で船長がゴルフをするときの説明に使った文を使ったもので、おっしゃるように、奇妙な感じを受けますが、動詞がпропасть, выигратьのように結果を重要視する動詞だということと、меньше ударов сделаетというのは動作の一括化の用法であって、完了体未来形の完遂の用法だけではないと思います。それで確述の用法として、用いられたのだと思います。勝った負けたというのは、一番最後に来るというのは誰にでも分かりますが、出題のような場合会話で使う文には、どちらが先行するのか耳で聞いて分かりやすい方がよいと思います。
ご説明ありがとうございました。