2013年10月28日

●続和文解釈入門第258回

『新訂和文露訳入門』第1章の最初の方に若干手を入れたので、お知らせする。

 体の本質とは何かを追求していくうちに、ロシア人が無意識とは言え、どのように体の使い分けをしているのかに興味をもち、自分なりにいくつかの作業仮説を立てた。それを著者自らが収集した9万4千項目に及ぶ語彙集の例文に基づき、時制、法により体の本質について検証してきた。動作の一瞬をイメージするのであれば、イメージした瞬間の動作のイメージが固着する。動作がその一瞬に止まるのなら、その一瞬を時間軸の不動の一点でイメージすることになるが、過程のようにその一瞬にイメージが止まらないのであれば、時間軸の不動の一点にはなり得ないことになる。その動作のイメージをするのが誰かと言えば、それは話し手である。

 動作の遂行は完了体でも不完了体でも表現できるが、遂行という動作は動作の終了であるから、厳密に言えば、過去か未来であり、その時点での動作の一瞬や過程(経過)を示す事はない。過程というのは常に動作が一瞬一瞬動いているわけで、完了体が過程を示せないという事実は、

完了体は話し手が
動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージする

 ということを意味する。同様に継続を示す完了体(про-という接頭辞のついた動詞群)はあっても、継続中の動作を完了体は示せない。反復も、偶発的反復を除いて完了体は表現できない。完了体は話し手が動作遂行の結果として、時間軸の特定かつ不動の一点をイメージすることから、完了体には具体的、主観的(叙想的、意識的)ニュアンスが出て来る。これは、懸念、期待、動作の完了、新しい情報や事態の出現、新規の(追加的、より詳細な)動作の可能性とか、否定文では不可能、否定の強調などという、話し手の考える主観的なものを指し、具体的な1回の行為などもそうである。現在の時制では、完了体は結果の存続(現在完了)や広い意味での今(一瞬後の未来)という形でしか現在と関係を持てない。回りの状況に左右されないために、感情的には超然とした感じを受けることもある。

出題)「アガニョーク誌を取り寄せるのと買うのとどちらがいい?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年10月28日 08:11
コメント

Как лучше, выписывать или
покупать журнал
"Огонек" ?
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不定形の体の用法は正確ですが、как лучшеというのは「どのようによりよいか」であって、「どちら」という意味にはなりません。「どちら」はкоторыйとкакойが同じ種類の名詞(事物)に対して用いられ、人についてはкакойやктоが使われます。Кто это?を「どちらさまですか?」と訳しますが、それと似た感じです。人に対してкоторыйを用いるのは廃語的用法です。ところが出題のように違う種類の事物(人にも用いられることがある)に対してはчтоを用います。『新訂和文露訳入門』10-12-2項参照。私の答えは、Что лучше: выписывать журнал "Огонёк" или покупать его?
不定法は動作の有無の確認の用法で不完了体が来ている。

Posted by ブーチャン at 2013年10月28日 09:11

(お題)
アガニョーク誌を取り寄せるのと買うのとどちらがいい
(コーシカ訳)
Что нам удобнее: выписывать или покупать «Огонек»?

「どちら」に力点があるので不完了体不定形を使っております。
「取り寄せる」のが出版社から自宅へ送ってもらうという意味であれば
заказыватьも使えるように思います。
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正解です。「どちら」というのはなかなかロシア語にしにくい疑問詞です。

Posted by コーシカ at 2013年10月28日 22:58

Как ты думаешь, что лучше, выписывать огонёк или покупать?
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正解です。

Posted by ゴ at 2013年10月28日 23:26
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