2013年10月22日
●続和文解釈入門第252回
ロシア語での犬への命令の言葉を見てみると、体の用法に例外がないことが分かる。
Ап!(跳べ)、Апорт!(= Принеси, Подай持ってこい)、Дай лапу.(お手)、Ищи.(探せ)、Ко мне!(来い)、Лежать!(伏せ)、Назад!(戻れ)、На место!(居場所に戻れ)、Подай!(取ってこい)、Пиль!(〔猟犬に対し野鳥に〕飛びかかれ)、Рядом!(ヒール、飼い主の左側に、ツイテは右側に陣取ること)、Стоять!(待て)、Сидеть!(お座り)、Фас!(= Схвати! 捕まえろ)
不定形は断固たる命令を示す。不完了体不定形は、その状況下ではどの動作をするのが当然と話し手が考えていることを示す。完了体不定形は新規な動作であるから、話し手にとって恣意的な動作(聞き手にとって恣意的な動作なら不完了体)であることが、「お手」などから分かる。
出題)「ターニャが地下鉄の方へ歩いてゆくのを違うクラスの男の子が見た」をロシア語にせよ。
Мальчик другого
класса увидел, что
Таня пошла в сторону
метро.
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お答えだと違う学年の男の子になります。それとувидел、пошла(これは始発の意味でしょう)と完了体が続いているので、視認した瞬間、立ち止まっていたターニャが歩き出したという意味になります。私の答えは、Мальчик из параллельного класса видел, как Таня шла к метро.
第197回本文参照。
Мальчик в дургом классе смотрел,что Таня идтёт на метро.
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お答えは別の学年にいた男の子という意味になり、смотретьというのは、視線を向けるということで、視認する(видеть)ということではありません。идтётはидётのタイプミスでしょうが、на метроとすると目的地が地下鉄ということになり、出題とは違います。拙著『新訂和文露訳入門』10-8項参照ください。
Мальчик другого класса смотрел, как Таня идёт к метро.
見るという行為が重要だからнесов。
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お答えは別の学年の男の子が、視線を向けたということで、視認したということではありません。「見るという行為が重要だから不完了体」という意味が全く理解できません。動詞に文の焦点が来れば完了体のはず。出題は従属節で経過を、主節で動作の有無の確認という用法です。
(お題)
ターニャが地下鉄の方へ歩いてゆくのを違うクラスの男の子が見た
(コーシカ訳)
Мальчик из другого класса увидел,
как Таня к (станции) метро подходит.
иноклассникないしчужеклассник的な語があるはずやけど…
увиделはアオリストの完了体過去
подходитは相対時制で、男の子がターニャを見た時点での現在進行中の事柄と考えます。
さて、正解は
あっ!параллельныйか…なるほど
классは学年の意味も(が?)ある、と辞書に出ていましたが
другой классでは別の学年になってしまうのですね。
Таня шлаだと、ターニャが歩いて行くのが先ずあって、それが目に入ったということですね。