2013年10月20日
●続和文解釈入門第250回
(何という苦しみ!)Что за мука!というように、что за + 主格だとばかり思っていたが、ウェード先生のロシア語文法にはこの句は格の影響を受けないとある。Век живи, век учись! である。原求作先生はчто за = какойということで、これはドイツ語からの借用表現であると『ロシア文法の要点』(原求作、水声社)で述べておられ、что за + 主格であり、次のように対格が来るのは文法的には誤りで、口語体であるとしている。что за の後には主格以外に、せいぜい対格しか例を見ないことを踏まえると、個人的には原先生の説の方が納得がいく。
(どんな本を彼女は買ったのですか?)Что за книгу она купила?
出題「家を出る時は、戸締りをしたか、窓を閉めたか、ガスを切ったかがいつも気になる」をロシア語にせよ。
Когда я выхожу из дому, меня всегда
беспокоит, заперты
ли все двери,
закрыты ли окна и
выключен ли газ.
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このような反復の要素がある文に完了体過去形を使うのを躊躇されたようですね。この設問における被動形動詞過去短語尾の問題点は二つあります。一つは動作主が分からないということと、動作が終わったのがいつの時点か、外出の時点なのか、それ以前なのか不明です。設問では外出の時点のはずです。相対時制がよく分かっていないようです。前にも書きましたが、過去の時制だけを示すのは不完了体過去形だけであり、未来の時制だけを示すのは不完了体未来形だけです。完了体過去形も完了体未来形も他の時制で使われることがあるので、その点を思い出してほしいものです。それとвыходитьというのは、外出というよりは、外に出るということで、庭の植木に水をやりに外に出たという場合にも使い、会社では昼食のために外に出たなどにも使い、すぐに戻ってくるというニュアンスです。出題の外に出るは外出の意味であることは鍵をかけるということでも分かります。私の答えは、Когда я ухожу из дома, я всегда беспокоюсь о том, закрыл ли я дверь и окна, выключил ли газ.
相対時制であり、『新訂和文露訳入門』9-2項参照。
При выходе из дома я всегда беспокоюсь, запер ли дверь, закрыл ли окна и выключил ли газ.
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ほぼ正解です。これはたいしたものです。ほぼと書いたのは、ご回答では、このяが非常に神経質な人だと思われる可能性があるからです。при уходеとすべきだと思います。беспокоиться (о том), что (где, когда, как)のように、лиを含む従属節の前では、ご回答のように、口語ではо томを省略するのが一般的です。
(お題)
家を出る時は、戸締りをしたか、窓を閉めたか、ガスを切ったかがいつも気になる
(コーシカ訳)
Когда я ухожу из дома, я всегда беспокоюсь,
что не замыкал, не закрывал окон и не выключал газа.
不完了体過去を使うことで未完了と行為の有無の意味を出すと考えます。
さて、正解は
えっ、(従属節は)全部完了体?
完遂できたかどうかを心配している、という感じでしょうか。
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不完了体過去形は過去の時制でしか使えないので、主文や従属文のどちらかが時制を合わせる必要があります。