2013年10月15日
●続和文解釈入門第245回
和文解釈入門の最初の頃に出題した、次のような会話における不完了体過去形は、英語の代動詞の用法に似ている。語義は最初の文で分かっているのだから、語義よりも動作をというものである。代動詞というのは、Do you have a pen? – Yes, I do.におけるI doのdoである。
「このバッグ買ったの」- Я купила эту сумочку.
「どこで買ったの?」- Где ты её покупала?
ロシア語のделатьは複合動詞としても使われるが、代動詞としての用法はない。下記の例は「任された(意図する)ことを遂行する」という意味であり、新規の情報が含まれているので完了体動詞過去形になっている。организоватьの過去形は完了体のみであり、順次的用法ととらえることができる。
(私たちはプーシュキンゆかりの地の観光をアレンジした。これは外国人学生の要望で行った)Мы организовали экскурсию по пушкинстким местам. Мы это сделали по поросьбе студентов-иностранцев.
出題)「これについては僕は彼にかなわない」をロシア語にせよ。
В этом отношении
я не иду в сравнение
с ним.
------------------------------
正解です。私の答えは、Я в этом деле ему не ровня.
「足元にも及ばない」ということであり、似た表現を挙げる。
Другие даже близко к ним не стояли.(他のは彼らの足元にも及ばなかった)
Недостоин развязать ремень у сапог его.(足元にも及ばない) <先駆者ヨハネの「私はその人の靴ひもをほどくにも値しない」から>
Он ногтя моего не стоит!(あいつは俺の足元にも及ばない)
в подмёдки не ставит (годится) кто кому(古い言い回し)
(お題)
これについては僕は彼にかなわない
(コーシカ訳)
1) В этом я не могу с ним равняться.
2) В этом я не равен ему.
一応2つ。
могу、равнятьсяともに恒常的な状態を指すため不完了体です。
-----------------------------
1)は正解ですが、2)は等しくないであり、どちらがよいというのは分からない気がします。
В этом я у него проигрываю.
問題文通りにしました。
---------------------------
日本語とロシア語は全く系統の違う言語ですから、一般的に直訳がよいとは言えないと思います。何を言いたいかどうか考えてみる方がよいでしょう。проиграть + 与格であり、これは日本語の「~に負ける」に似ています。проигратьはゲーム、競技、宝くじで失敗する、敗北するということで、技能的に劣るという意味はありません。補語が対格ならпроиграть пешку「歩を取られる」という意味で使います。このコーナーの設問は実際の通訳のような一刻を争うというものではなく、逆に実際に通訳する際の予習みたいなものですから、精確さが求められます。気になる単語は露露辞典を引いてみたらどうでしょう。