2013年10月12日
●続和文解釈入門第242回
ウェード先生のA comprehensive Russian grammer読んでいたら、部分生格のところで、次のような例文を見つけた。
(彼はちょっと水を飲んだ)Он выпил молока. <He drank some milk.>
(彼はその水を飲み干した)Он выпил молоко. <He drank the milk.>
(彼は水を飲んだ)Он пил воду.
(彼は〔何度も〕水を飲んだ)Он выпивал воду.
(彼は水をコップ1杯飲んだ)Он выпил стакан воды.
上から二つ目の文については原求作先生が『ロシア文法の要点』(水声社)の42ページで、〔Он выпил воды. この場合водаを生格にするのはвыпитьという動作がводаという「物質」の「一部」に及んだからです。たとえば、コップの中にある水を全て飲み干したとしても、やはり、водаはという名詞は、「コップの中に入っている水」を表しているのではなくて、「水一般」という抽象的な物質をさしている、という意識があるからです。だからОн выпил воды.というときには、「コップの中に入っている水の一部を飲み干した」という意味ではなく、「水という抽象的な物質の一部を飲み干した」という意識が働いています〕と述べておられ、45ページに〔выпитьやиспитьとか接頭辞をもっていれば部分生格を使いますが、接頭辞のない場合は対格になります〕とある。個人的には原先生の説明の方が納得がいくが、語結合辞典ではвыпить что: (о жидкости液体に関して) ~ воду, чай, молоко, квас, пиво, вино, водку, коктейль, пуншとあり、部分生格の例としてвыпить (только сов完了体のみ) чего: ~воды, чая, молока, пива, винаという例が挙げられている。現実的には部分生格で使う方が多いのだろうが、対象全部を飲む場合には対格を使えということのようだ。
「食べる」の場合は、不完了体はесть что: (о пище食べ物に関して) ~ суп, мясоと、対格がそのまま補語になり、完了体の方もсъесть что: яблоко; целое яблоко, всё яблоко, тарелку чего-либо (щей), порцию чего-либоと対格であるが、поесть は語義からしてпоесть супа/супуのように部分生格しか来ないようである。
出題)「彼女には虫唾が走る」をロシア語にせよ。
(1) Она отвратительна.
(2) Я чувствую в ней
отвращение.
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(1)は正解ですが、(2)はотвращение к нейとすべきです。чувствовать в ком чтоという構文はあるのですが、この場合は彼女の中に強い嫌悪を感じるのか、彼女に対して感じるのかというと後者のように思います。それと語結合の強さもそうです。私の答えは、У меня от неё судороги делаются.
(お題)
彼女には虫唾が走る
(コーシカ訳)
1) Она мне тошна.
2) Она вызывает у меня тошноту.
辞書を見てるとそのものズバリでいけそうです(研究社; ЗиР)。
2) は「彼女を見るといつも」の意味で不完了体現在です。
ついでに英語も見てみました: She makes me sick.
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正解です。
Она вызывает у меня чувство отвращения.
Я никак не могу её принимать.
Мне ужасно просто видеть её.
三波春夫は歌が上手かったです。
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最初のは正解です。二つ目と三つ目は一面だけをとらえているような気がします。