2013年10月05日
●続和文解釈入門第235回
『新訂和文露訳入門』6-1-4項の動作の開始(促し)・継続・終了に下記追記する。
運動の動詞(接頭辞のつく運動の動詞も含む)の後に続くのも、不完了体不定形が多い。これも始発のニュアンスがあるからだと考えれば分かりやすい。
(服を着に行くよ)Пойду одеваться.
(彼は別れのあいさつのために車に近寄った)Он подошёл к машине прощаться.
上記の不定形も目的であるが、чтобыの後では、運動の動詞の動きと目的を別々に強調するという点から完了体不定形が来る。これに似た用法として、8-2-5項が参考となる。
(この忌まわしい牝馬を売るために出かける)Я еду, чтобы продать эту проклятую кобылу.
出題)「もう一度お邪魔しなければならなくなっても、悪く思わないでください」をロシア語にせよ。
Если даже я должен
зайти к вам ещё раз,
не подумайте обо мне
плохо.
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今回は「もう一度お邪魔しなければならなくなっても」のところが非常に難しく、間違ってもやむを得ないと思います。ただこれに不完了体動詞不定形が来るということが、理詰めで納得できれば体の奥義を体得されたことになります。「悪く思わないで」の体の選択は正しいと思いますが、これは決まり文句ですし、詳しくは次回の本文にて説明します。私の答えは、Не обессудьте, если придётся ещё разок вас беспокоить.
ещё раз (разок)が来ているために、動作はすでに一度行われていることが明らかなので、代動詞として不完了体動詞不定形が来る。
Прошу не толковать
в дурную сторону,
если мне придется
еще раз вас
беспокоить.
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これはすごい。「悪く思わないでください」についてはひと工夫必要ですが、これも1分で納得されるでしょう。これについては次回の本文を参照ください。「もう一度お邪魔しなければならなくなっても」の体の使い分けが非常に難しく、これが正解ということは、前にも書きましたが、体の奥義を会得された重ねての証拠です。ブーチャンさんは長く投稿して私のコーナをを支えてくださったお一人ですが、つい最近までは、文法や語彙の豊かさは上級ではあるが、昔の英語の達人松本道弘先生の言う「無意識のうちに英語と日本語を使い分けができるようになる」という夢想の境地を目指しているようで、ロシア語の感覚をロシア人並みにするようということに専心されているようなところが見受けられました。理屈(頭)ではなく、ハートと言った感じで、設問に対しても、短文だけを見て、文脈や前後を想像せずに、投稿されているようなところがありましたが、最近は精進の成果もあがり、進境目覚ましく、多分ちょっとしたことで得心されたのでしょう。私は松本先生の著作については評価しますが、ロシア人の気持ちになる、ある意味バイリンガルを目指すというのは、不可能であり、もっと理性的に、理論的に体の本質を理解すべきだと考えています。理論は理論として、結果を出さなければだれも評価してくれません。そういう意味でも、私の考えた体の本質に賛同されるかはともかく、ブーチャンさんのような方が増えていくといいなと思います。
Если мне нужно будет к вам, тогда прошу не возмущаться.
昨日のпоはкольцоの穴に入れるからでしょうか?(玉入れのかごとか)
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動詞を(ひいては体の使い分けを)避けるために、省略されているようですが、これは省略が過ぎると思います。理解して省略するというのならよいのですが。そうではなくбыть動詞で方向を出すというだったと言うなら、кではなくуを取ります。тогда以下は現在の時制ではなく、条件法か仮定法の未来のはずです。
вかпоかというのはよい質問です。в + 対格というのは、一つの点を目指すということで、バスケットのリングそのものではなく、リングそのものを一つの点と見なして投げるということで、по + 与格はリングそのものを狙って投げるという違いがあります。これは選手にとってリングのど真ん中を狙うのが筋なのでしょうが、少なくともゲーム中は見えるのはリングだけだということもあります。この意味ではそれほど違いがあるわけではありませんが、この違いがよく現れるのは、глядеть в лес(森を見る)とглядеть по лес(森全体を見るというニュアンスがある)や、ударить в лоб камнем(額を石で殴る<額を点として見立てている>)とударить линейкой по лбу(額を定規で殴る<額全体というニュアンスが出る>)
こういうのに興味があればСловарь трудностей русского языка(ロシア語難語辞典), Русский язык, 1976を勧めます。この本はよく再版、ないしは改訂版が出ているようです。この他に、Справочник по русскому языку, Розенталь, Оникс, Мир и Образование, 2008などもよいと思います。ロシア語を突き詰めようとするとお金がかかりますが、他の趣味に比べれば、あるいは掛け持ちしなければ大したことはないでしょう。
今回の設問に対する小生の露訳に関して
過分なお褒めの言葉を頂戴し恐縮しています。上記コメントは正に的中で佐藤さんの
眼力には恐れ入ります。
(お題)
もう一度お邪魔しなければならなくなっても、悪く思わないでください
(コーシカ訳)
Надеюсь, чтобы Вы не рассердились,
если я должен (должна) буду беспокоить Вас еще раз.
上手くいえませんが…
もしかしたら、という程度の未来ですので
(また電話してね、くらいのどっちでもいい未来、と言いますか)
完了体では強すぎるように思います。
消去法でбыть の未来形です。
さて、正解は
あ~
придетсяなんて柔らかい?言い方がありました!忘れておりました。
>動作はすでに一度行われていることが明らかなので、代動詞として不完了体
なのですね。
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お答え自体は文法的におかしいところはありません。ただ会話ではдолжен буду (будет)というのは、未来の時制ということで文法的には正しくとも、会話ではあまり使わないようです。忙しい世の中だからでしょう。問題はрассердитьсяで、これは強すぎます。気を悪くしないでということですから。