2013年10月01日

●続和文解釈入門第231回

(「調べようか?」と俺はヴィーチカに尋ねた)Проверим? – спросил я у Витьки.
(「俺がもう調べた」とサーシカが言った)Я уже проверял – сказал Сашка.

 二番目の文は既知の動作(動作の有無)の確認であり、動詞の語義については最初の文で明示されている以上、二つ目の文では動作がなされたことだけを述べているため、強めに発音したり、イントネーションを変えるなどして強調のニュアンスを出す場合が多い。

(「その時に申請すべきだった」と彼は言った)Надо было заявить тогда же, – сказал он.
(「申請したさ」)Я заявлял.

 フォーサイス先生は不完了体が上の文において非常に強い論理的強調性を帯びていると述べておられるが、語義そのものではなく、動作があったことを強調しているということになる。

出題)「一度彼は溺れて死にかけた」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年10月01日 06:16
コメント

Раз он чуть не умер
из-за утопления.
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умеретьは「死ぬ」の総称語みたいなものですから、よいように思いますが、出題のように事故死や不慮の死の場合は、погибнуть/погибатьを使うべきだと思います。утопление = смерть или терминальное состояние вследствие острого кислородного голодания мозга и др. тканей, возникающего при заполнении дыхательных путей жидкостью; разновидность асфиксии.とありますから、溺死かそれに近い状態を指すわけで、使いにくいと思います。
 私の答えは、Раз он тонул, погибал.
不完了体の志向の用法。第196回本文参照。上級者であるブーチャンさんも志向の用法を使えないようであれば、『新訂和文露訳入門』には志向についてあまり触れていないので、否定の用法やこの志向の用法を付け加えた三訂版を出した方がいいのかもしれません。тонуть = гибнуть, погружась в воду, на дноですから、この完了体утонуть, потонутьは動作が完遂するので、溺死するか、底に沈むということで、今回の出題には完了体は使えないか、使いにくいことが分かります。
Он потонул, он погиб.(彼は溺れて死んだ)<順次的用法>

Posted by ブーチャン at 2013年10月01日 07:19

Раньше он раз утонул
и чуть было не умер.
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утонулと完了体を使うと、溺死したか、少なくとも水の底に沈んだという動作は終了したことになり、そこから生き返らせるのはかなり難しいように思います。

Posted by ロン at 2013年10月01日 07:52

Он один раз утонул и умер было.
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善意で考えるとбылоはутонулоにもかかっているということでしょうか?утонул было и умер быとすればいいのかもしれませんが、いずれにせよ複雑怪奇な文となります。会話ではもっと分かりやすい文、耳ですぐ理解できる文が好まれます。問題なのはутонулです。

Posted by ゴ at 2013年10月01日 21:43

(お題)
一度彼は溺れて死にかけた
(コーシカ訳)
Однажды он утопал и чуть не умер.

結果の非存続を表す不完了体過去と
「危うく…する」のчуть не 完了体過去を組み合わせてみました。
さて、正解は
なるほど、「不慮」を重く見てпогибатьを使うべきなのですね。

「溺れる」を辞書で引くと不完了体でした:
Однажды в моловости я утопал в этой реке.
かつて少年時代に私はこの川で溺れかかったことがある
(研究社、2490頁、утопать)
完了体だと「溺れ死ぬ」になってしまうようです。
この例文を流用しつつも、なぜ完了体というのが気になったので、
過去のさとうさんのコメントを読み返し、結果の非存続という用法で説明がつく、
と得心しました。
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これは結果の非存続(「結果の無効」という名称に代えました)ではなく、志向(『新訂和文露訳入門』7-1項の動詞群の不完了体で、動作の達成を志向するが、完遂しないという用法で、完了体は完遂を示します。тонуть/утонуть, потонуть溺れるも完了体の方は水の底に沈むとか溺死するという意味になります。

Posted by コーシカ at 2013年10月07日 23:39
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