2013年09月30日
●続和文解釈入門第230回
идтиというのは、文脈によって「行く」とも「来る」とも訳せる。Иди отсюда.(あっちに行け)だが、「こっちに来いCome here.」はИди сюда.と訳す。ところで、この後の文を使って命令法での体の違いをよく表すと思う例を挙げて見る。これは「今すぐという切迫性」を示すので不完了体命令形が来るが、これに日時を限定して、例えば、「明日ここに来い」とすれば、Приди сюда завтра.と完了体命令形となり、これは私が主張する「完了体は時間軸の特定かつ不動の一点での動作をイメージする」という説と一致するし、Приходи сюда завтра.と不完了体命令形にすれば、明日中に来てという勧誘の用法となる。
приходиが切迫感の用法で使いにくいのは、この動詞が基本的に到着する動作の反復しか表せないということにある。勧誘で使う分には、回数も、またいつなのか特定しなくてよいということになり、придиだと、時間軸の不動の一点ということになり、会議や商談などを除いて、日常会話で使うには時間的なゆとりがなさすぎるということになる。
出題)「人にも笑われ、後ろ指を指されることになりますよ」をロシア語にせよ。
Над тобой человек тоже
будет смеяться, к тому
же, ты будет ругаться
за спиной.
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人間を含めて、動物や樹木などにも、человекのように単数で全体を示す用法がありますが、全体ですから、人類という意味になります。出題の「人」は世間のことであり、人類全体を指すものではありません。不定人称文を使ったほうがよかったと思います。またругатьсяはругатьの受け身ではありません。自動詞で、「罵る、罵り合う」という意味です。私の答えは、Над вами будут потешаться, на вас будут указывать пальцем.
この「人」というのは世間であり、これについては『新訂和文露訳入門』9-4項参照のこと。
Вы будете предметом
посмеяния среди
людей и будете
засыпанными упрёками.
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посмеяниеは廃語に近い表現ですから、使わない方がよいでしょう。посмешище, предмет насмешекのほうがよいと思います。お答えだと、動作主が名指しされてないがいるということで、特に後半の文では必ずしも世間という印象は受けません。
Я боюсь, что вы будете подвергаться насмешке и критике за вашей спиной.
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正解にしてもいいのですが、お答えだと、「陰で」がすべての文にかかっているような気がします。「人にも笑われ」は陰で笑われるということではないので、иの前にカンマを入れて、何か別の動詞を工夫した方がよいように思います。
(お題)
人にも笑われ、後ろ指を指されることになりますよ
(コーシカ訳)
Вы подвергнетесь насмешкам откровенно и за спиной.
話し手の主観や確信に基く発言のため完了体未来形です。
「後ろ指を差される」はсллетничать за спинойというのがありましたが
発話者には、やったら間違いなく馬鹿にされる、という見込みがありそうなので
もっと強そうな表現にしてみました。
さて、正解は
なんと!
указывать пальцем на когоで後ろ指を差すになるのですね:
辞書でも確認できました
(研究社;岩波;科学アカデミー[1981年版]3巻;オジェゴフ、палец)。