2013年09月27日
●続和文解釈入門第227回
(私たちは彼を捕まえようとしたが、だめだった)Мы ловили его, но не поймали.
という文を第195回で出題したわけだが、この不完了体の用法は志向と言って、動作の遂行を目指すのだが、動作は終了していない。ところが、
(彼はよく釣りをした)Он часто ловил рыбу.
上の文では動作は終了していることが分かる。このように不完了体というのは動作の名指し(動作の有無の確認)なので、動作が終了したかどうかは文脈による。反復や継続の用法も不完了体が本来もっている用法ではなく、副詞句や補語などによってそう理解される場合があるということである。ここから得られる結論は、不完了体は曖昧な、抽象的なニュアンスがあり、完了体は具体的な1回の動作を扱うことから、より明確な感じがする。これをよく示す例文を挙げる。
(彼女はどうしたらいいか分からないのだ。癇癪を起こすべきか、全てを冗談にしてしまうか、はたまた泣きだすか)Она не знает, что делать – вспылить, или обратить всё в шутку, или заплакать. <動作の曖昧な「何をすべきか」から、「癇癪を起こす、冗談にしてしまう、泣きだす」と動作が具体的になっているのが分かる>
ロシア文学を読むときに、このようなニュアンスもありうるという事を知ってほしい。
出題)「他の能力は必要ないので退化した」をロシア語にせよ。
Другое умение
выродилось, так как
его не нужно.
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他の能力とありますから、その能力は複数と考えるべきです。それと必要ないというのはお答えでは現在の時制ですが、退化したというのは過去の時制のはずで、不必要だったから退化したのではないでしょうか?つまり動作の順序は、「必要でない」が先であり、そのあと「退化した」と考えるべきです。お答えだと、「退化した」が時間的に先になってしまいます。私の答えは、Другие способности же за ненадобностью атрофировались.
Прочие способности
атрофировались
так как нет их надобности.
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必要なかったから退化したのではないのでしょう?間接話法におけるчто以下では時制の一致はありませんが、そのほかの従属文(原因を示すものも含めて)では時制は実際の時制の通りです。
Другие способности, важность которых становилась меньше, (постепенно) падали.(деградировали)
勝手に…すみません。同時進行ということでнесовにしました。
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「退化した」というのは動作が終わっているのであり、結果の存続と考えるのが普通でしょう。アオリスト的用法とも考えられます。お答えは「退化しつつあった」という意味です。
(お題)
他の能力は必要ないので退化した
(コーシカ訳)
Другие способности не были нужны и деградировали.
「必要がない」は過去に必要がなくなって今も不要と考えて
не были нужныとアオリストないし結果の現存の形にしております。
деградировалиは完了体過去によるアオリストです。
さて、正解は
атрофировать; atrophyなんて語があったのですか!
知りませんでした。
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能力を複数にしているのは結構なことですが、деградироватьは完了体・不完了体同形ですから、それはよいのですが、意味は徐々に悪くなる、必要な資質が失われるということで、退化ではないと思います。
それとне были нужныは過去の時制であり、完了体過去形ですらないのに、結果の現存というのはあり得ないと思います。