2013年09月24日
●続和文解釈入門第224回
フォーサイス先生のA grammer of aspectには、不完了体不定形が多用されるケースが多い動詞としてзапрягать(馬に鞍をつける)、ложиться(横になる)、обедать(昼食を摂る)、стрелять(撃つ)、уезжать(車などで去る)、уходить(歩いて去る)を挙げ、下記のような例文が添えられている。その中でзапрягатьだけが、交通手段はすでに準備されているのだから、切迫した命令exigend commandということで不完了体が来るという説明があるくらいで、他の動詞には特に理由は示されていない。
(ママが私に寝るように言った)Мама сказала, чтобы я ложился спать. <чтобыの後は完了体が一般的だが、間接話法の命令文 Мама сказала мне, «Ложись спать».からであろう。そうなると促し・切迫感の不完了体の用法となる>
(父は私に直ちに寝るよう命令した)Отец приказал мне немеделнно ложиться спать.
(レニングラードをすぐに離れなければならなくなる)Скоро придётся уезжать из Ленинграда.
(今昼ごはんを食べたい)Сейчас хочу обедать.
上の文を見て気がつくのは、немедленно(ただちに)とかскоро(早く)、сейчас(今)といった切迫感を示す副詞があることである。仮にこういう副詞がなくとも、急ぐという文脈なら切迫感という用法で不完了体が使われるのは自然のことである。不完了体は動作そのものでそれ自体にニュアンスはないから、副詞や文脈次第で、感情的なニュアンスや、促し、切迫感、焦燥感を示す事になるのである。動詞によってはそのような文脈で使われやすい動詞というのがあり、запрягатьも現代ではあまり使われないが、19世紀末までは、外出するときには、馬の用意をすることが当然という状況があり、その準備のスタートの合図をするという意味(促し・着手の用法)で、不完了体が使われやすいのだということは言える。これらの文例で使われる動詞は不完了体が多用される傾向があるというよりは、切迫感の用法だから不完了体を使わざるをえないということになる。
出題)「彼らは土曜半日をお店めぐりに費やした」をロシア語にせよ。
Они полдня в субботу потратили время на
обход магазинов.
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体の用法は正確です。お答えだと買物ではなく、警備員の巡回のような感じがしますね。私の答えは、Полдня в субботу они потратили на поездки по магазинам.
Они потратили полдня субботы на прогулку по магазинам.
пообедать, уехать... 上記のнесовの使い方は難しいです。
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お答えの完了体は正しいのですが、прогулкаだと散歩ですから、冷やかしというような感じを受けます。
(お題)
彼らは土曜半日をお店めぐりに費やした
(コーシカ訳)
1) Они истратили половину субботы на прогулку по магазнам.
2) Они уделили половину субботы прогулке по магазинам.
3) Всю половину субботы они были в разъездах по магазинам.
思いついた順に3つ。
1)、2)は完了体過去によるアオリストです。
1)は動詞をпровелиと交換可能だと思います:
「истратили費やした」だと非難めいても聞こえるかもしれませんが
「провели過ごした」ならより中性的になるように感じます。
3)はразъездを使ってみたかったので作りました。
были в разъездах と不完了体過去を取るのは
・ある程度の時間経過を想定しているため
・お店めぐりをひとつの状態と捉えるため(в 前置格)
と考えます。
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1)と2)の体の用法は正確です。問題はпрогулкаで、これだと買うつもりがなく冷やかしだけのように思えます。3)は複数の人がバラバラにお店めぐりに出かけたという感じを受けます。