2013年09月20日
●続和文解釈入門第220回
нельзяについて、第191回にて、「нельзя + 不完了体不定形は禁止を、нельзя + 完了体不定形は不可能を示すと、『新訂和文露訳入門』に書いたが、対応する完了体がない動詞では、不完了体不定形でも不可能を示す場合がある。これはある一定の期間の動作を示す動詞ということになる」と書いたが、フォーサイス先生のA grammer of aspectには、これに関して「不可能ということでは後に続く不定形は完了体が一般的だが、動作の遂行が主体の権限や能力を超える場合は不完了体不定形が来る」という説明があったので、ここに訂正しておく。フォーサイス先生は理由を書いていないが、これは不完了体の嫌気、不適切というニュアンスが出てくるからだろう。
(断れないよ。ビビったって後で人に言われるよ)Не могу же отказаться: струсил, скажут. <不可能>
(彼女とは暮らせない)Жить с ней я не могу.
(これ以上我慢できない)Больше терпеть не могу.
(1時間もそこに残ることはできなかった。その日に師団へ戻ったからだ)И часу оставаться там не мог, в этот день уехал обратно в дивизию.
出題)「無料奉仕をした」をロシア語にせよ。
(1) Я послужил
бесплатно.
(2) Я занимался
бесплатным
служением.
(3) Я послужил как
доброволец.
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послужитьは+ 造格とともに「~になる」であり、 + 与格で「~に役立つ」という意味ですし、служитьは不完了体で「軍務についている」という意味です。служениеには雅語で「奉仕」という意味がありますが、日常的には使わないでしょう。私の答えは、Работал на общественных началах.
Я сделал бесплатное
обслуживание.
※обслужить を使用すると後ろに
対格を伴う必要があると考え、上記の通り
名詞を起用しました。宜しく添削願います。
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обслуживаниеというのは、給仕、メンテナンスなどを指しますが、有料です。無料奉仕というのは、何か本業があって、そのほかの無報酬の臨時の副業(社会奉仕)と考えたほうがよいと思います。サービスの類語については、拙著「るいごプラス!」を参照ください。осуществлять (организовать) обслуживаниеというのは聞いたことがありますが、делать/сделатьはどうでしょう?обслужитьはこの出題では間違いですが、自動詞であれば形容詞を副詞に換えればよいはずです。безвозмездно(無償で)など
Я работал(служил) бесплатно.
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正解ですが、これでは本業ですから、生活費はどうなるのでしょうと心配になります。служитьは軍隊勤めというニュアンスがあるので使わない方がよいと思います。
(お題)
無料奉仕をした
(コーシカ訳)
1) Я поработал бесплатно.
2) Я выполнил бесплатную и полезную работу.
いづれも完了体過去によるアオリストです。
露露から土曜労働の定義を流用しました:
субботник
Добровольное коллективное бесплатное выполнение какой-л. общественно полезной работы.
(科学アカデミー[1984年]、4巻、298頁)
さて、正解は
えっ、началоにそんな意味が?!
…ありました!
「無料奉仕で」という決まった表現だったのですね。勉強になります。
начало 6[複で] 方法、方式(способы)
на общественных началах 公共負担で、社会奉仕で、無償で(безвозмездно)
(研究社、1131頁)
работалと不完了体過去なのですね。
何度か携わったのか、無料に力点があるからなのか色々考えられそうです。
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работатьは働くという状態の動詞で、語義に期間が含まれているから不完了体なのです。по-をつけて完了体にすると「少しの間働く」という意味になります。