2013年09月17日

●続和文解釈入門第217回

不完了体が時間軸の特定かつ不動の一点での動作をイメージしないために、不完了体は時間を示す語句との相性が悪い。それゆえ不完了体現在形の予定の用法を示す次の文は例外のように思える。

(彼は来月外国に行くことになっている)Он уезжает за границу в следующем месяце.

 しかし、『新訂和文露訳入門』2-2-1-2項で示したように不完了体過去形でも、踏み台のように予め場を設定しておけば、時間を示す語句との共存も可能であることを考えると、予定の用法というのは、あたかも予定表に書き込まれたように、既知の動作をなぞるとか、確認するという代動詞(反復の意味合いがある)のような用法であり、新規の動作ではない。もともとの予定表に時間を示す語句があるとイメージされているがゆえに、このような文は可能であることになる。この仮想の予定表が踏み台に相当するのである。この文の示すのは、外国へは徒歩や飛行機ではなく、何らかの移動手段で行くということと、それが予定にあるように来月だということである。

出題)「南方から小包が届いた。明日取りに行か(受け取ら)なくては」

Posted by SATOH at 2013年09月17日 06:09
コメント

С юга пришли
посылки.
Завтра надо их
получать.
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これはすごい。正解です。これまで出題した800題の中では一番難しいものだと思います。体の奥義を会得されたようですね。そのような方がもっと増えるといいのですが。自分が体の本質が分かれば、それを他の学習者に分かち合うのは簡単なことでしょう。自分だけにしまっておかないよう、体の面白さを他の方にも伝えてください。後はちょっとした凡ミスや、語彙もプロ級ですが、今後このコーナーでの出題で、自分の分野に関係のないような語彙が見つかれば、何かの役に立つかもしれません。私の答えは、Нам с юга посылка пришла. Завтра надо получать.
不定法の動作の有無の確認。これは難しい。小包が届いた以上、受け取るのは当然、受け取らねばならないという意識が不完了体を選択させる。

Posted by ブーチャン at 2013年09月17日 06:30

Посылка доставилась
из южной части.
Завтра мне надо
получить эту.
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доставитьсяという単語はアカデミー版露露辞典にもありません。他動詞で受身になるのはся動詞の不完了体のみで、ся動詞で完了体のものは独立した自動詞です。被動形動詞過去短語尾доставленаなら分かります。「南方から小包が届いた」という前の文がなければ、надо получитьと、新規の事柄ですから、お答えのように完了体不定形がきます。しかし、小包が届いた以上、受け取るのは当然、受け取らねばならないという意識が不完了体を選択させるのです。体の選択は、個々の文ではなく、あくまで文脈によるのだということを理解すれば、体の本質を理解するのも難しいことではありません。明日という時間軸の特定の不動の一点を示すかのような語句があるのに、不完了体が用いられることに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、不完了体は時間軸の特定かつ不動の一点での動作をイメージしないというのは、動作において特定かつ不動の一点の有無を問題にしない、つまりあってもなくても気にしないということです。完了体であれば、明日の午前10時というような特定の時を意識することになるし、不完了体であれば、明日中のいつかに動作が行われるということになります。

Posted by ロン at 2013年09月17日 07:11

Мне отправили посылку с юга. Я завтра пойду её получить.
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отправилиというのは、結果の存続ですが、発送した(発送した場所にはない)ということであって、到着したという意味にはなりません。この文脈ではЗавтра иду её получать.とした方が自然です。受け取るというのが、このような前の文がない、新規の事柄であれば、口語的ですが、『新訂和文露訳入門』8-2-5項にあるように、пойду получуとなるでしょう。

Posted by ゴ at 2013年09月17日 23:09

(お題)
南方から小包が届いた。明日取りに行か(受け取ら)なくては。
(コーシカ訳)
С юга прислали посылку. Нужно получить завтра.

прислалиは完了体過去による結果の現存
получитьは
・直前にнужноがあり意志を表す
・直後のзавтраも発話時点より未来を指す
ために完了体です。
さて、正解は
>小包が届いた以上、受け取るのは当然
>受け取らねばならないという意識が不完了体を選択させる。
>「南方から小包が届いた」という前の文がなければ…新規の事柄ですから…完了体不定形
はぁ~確かに!
「…なければならない」 → 叙想語 → 完了体
と機械的に処理して何も疑いませんでしたが、なるほど文脈から推すのですね。

Posted by コーシカ at 2013年09月24日 22:35

実はもう一つ考えておりました。
С юга прислали посылку. Нужно пойти получить завтра.
ただ、模範解答を見る限り完了体では違和感があるのでしょうね。

「受け取りに行く」ならどうか、と考えてみました。
пойтиに動詞を続けて「…しに行く」という口語表現ができるようです。

2 b) [動詞を重畳させて目的を表す] ((口)) …しに行こう:
Пойду посмотрю. 行って見てこよう。
Пойду поговорю с ним. 行って彼と話してこよう。
Пойду узнаю. 行ってきいて[確かめて]こよう。
...
Пойди принеси из комнаты газету. 部屋に行って新聞を取ってきてくれ。
Может быть, пойти посмотреть? なんだったら行って見てこようか。
(研究社、1593頁、пойти 2b)

完了体を重ねる順次的用法の一種でしょうか。
これを使って訳してみることもできそうです:
不定形不定形してうっとうしくはありますが…
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この出題の場合はпойтиとするのには、無理がありますし、不定形でもидтиの使用がはるかに多いという現実もあります。それと「~してくる」については『新訂和文露訳入門』8-2-5項で述べてあることです。

Posted by コーシカ at 2013年09月24日 22:41
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