2013年09月14日
●続和文解釈入門第214回
(行ってきます)Я пошёл.
(えんやこりゃ)Раз-два, взяли.
上の二つの文は完了体過去形を未来の完遂の意味に使っており、時制の転用である。この時制の転用の起源は、ロシア語の昔の過去分詞からだとか、быの脱落だと言われているが、素人にはбыの脱落と考えた方が分かりやすい。
(取ったら)Ты бы взял.
出題)「審判が彼にイエローカードを提示するはずがない」をロシア語にせよ。
Судья не должен
представить ему
желтую карточку.
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体の用法は正確です。ただイエローカードは見せるもので、提出したり、渡したりするものではないと思いますが。私の答えは、Судья не должен показать ему жёлтую карточку.
не должен + 完了体不定形は「~するはずがない」で、не должен + 不完了体不定形は「~すべきでない」という意味の違いがある。「~するはずがない」は完了体の例示的用法からの否定の強調である。
Судья не может
представить ему
жёлтую карточку.
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не мочь + 完了体不定形は、現在の時制において具体的な1回の動作の不可能を示します。一方、Виды глагола в русской речи, К. А. Соколовская, Русский язык медиа/Дрофа, 2008(ロシア語会話における動詞の体)によれば、не должен + 完了体不定形は、次のような複雑な状況で用いられるとあります。
1) 好ましくない動作が起こるかもしれないという仮定が述べられている。
2) 好ましくない動作が起こるはずがないという期待が述べられている。
3) 好ましくない動作が起こるはずがない根拠が与えられている。
(お題)
審判が彼にイエローカードを提示するはずがない
(コーシカ訳)
1) Арбитр никогда не предъявит ему желтой карточки.
2) Было бы неразумно, если ему бы арбитр предъявил желтую карточку.
3) Арбитр не должен предъявить ему желтой карточки.
思いついた順に3つ。
1)は完了体未来形を使った否定の強調
2)は仮定法過去を使ってありえないという感覚を出してみました
3)は1)の確認のために『和文露訳入門』を見たところ4-1-2-6に
не должен 完了体不定形で「~するはずがない」の意になる
とありましたので使ってみました。
「提示する」はルールに則ってなされる行為であるため
ちょっと堅そうですがпредъявить を充てました。
показать を使った例も検索すると結構出てきました。
「審判」はсудья かと思いましたが(こっちの使用例も多かったです)、
露語版ウィキペディアにてイエローカードを確認するとарбитр が使われており
こちらの方がスポーツの審判という感が強く出るかと思い、使っております。
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3)が正解ですが、1回の具体的動作に出すカードは単数のはずです。そうでないと、その審判はイエローカードを出さないということになり、文脈上おかしいと思います。1)は「出さない」ということで、ロンさんに書いた「~するはずがない」の意味とは違い、否定の強調です。2)は意訳のような気がします。арбитрは作家の審判という意味では使いますが、ビジネスでは仲裁裁判所の仲裁審判員という意味で使います。
Судья не должен дать ему жёлтую карточку.
сов...だと思いました。
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体の用法は正確です。提示するのであって、渡すのではないと思います。