2013年09月05日
●続和文解釈入門第205回
(今日起きたが、後で具合が悪くなり、また寝た)Я вставал сегодня, но потом почувствовал себя плохо и снова лёг.
上の文を見ると、完了体過去形почувтвовалの後に完了体過去形лёгが続いており、不完了体過去形вставалは何か浮いた感じがするなと思えば、体の用法に関してかなり語感ができてきたことになる。それは完了体の順次的用法から外れるからである。つまりвсталとした方が、文の上では自然なものになるとはいえ、上の文も文法的に正しいと言える。これはвстать/вставатьがоткрыть/открыватьのような対義語のある動詞群の過去形では、ニ方向の動作をもっているからである。『新訂和文露訳入門』2-1-3項参照。つまりвсталは「起きた(発話の時点でも起きているという結果の存続の可能性が高い)」だが、вставалは「起きていた(発話の時点では起きていない可能性が高い)」というニュアンスがあるからである。この文の最後にлёгがあるので、なおさら不完了体過去形が適切であることが分かる。
文の意味だけではなく、ニュアンスを探るようにすることが露文解釈の解釈たる所以であり、通訳というのは露文和訳と和文露訳をするという意味でニ方向である以上、和文露訳のみならず、露文解釈においても体の用法を究めることが必要であることはお分かりになるだろう。
出題)「今さら謝ってもらっても遅い」をロシア語にせよ。
Теперь уже поздно
просить меня
прощения.
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体の用法は正解です。ただпросить прощения у когоという語結合です。私の答えは、Поздно теперь извиняться.
不必要から派生した不適切・不本意の用法で不完了体不定形を用いる。
Тебе надо было бы пораньше извиниться.
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不適切、嫌気、不本意という用法は不必要という用法から来たものです。不必要というのは、なくてもよいということで、これは動作がないに通じます。不完了体は動作そのもの(完了体のような動作の遂行を意味しません)ですから、これを否定すると、動作そのものの否定ということになります。それで不適切という用法には不完了体不定形が使われるのです。
不完了体自体は動作そのものという意味だけですから、副詞や副詞句とともに、あるいは文脈により、反復、継続、動作の終了を示す場合があるということだけです。動作の終了の場合でも、単に動作があったか、なかったか、あるのかないのかが問題であり、完了体のような話し手の主観的ニュアンスを表すことはありません。
Теперь поздно извиняться.
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正解です。
Если сейчас просишь прощение, это уже поздно.
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不適切には不完了体という発想は悪くないのですが、если以下に、つまり「許しを乞うとすれば」というのは、それこそ例示的用法ではないでしょうか?それ以外にも文脈に初めにつかのであれば、具体的1回の動作であり、完了多が出やすいということも言えます。それよりもпоздно + 不完了体不定形を使ったほうが簡単だと思います。
(お題)
今さら謝ってもらっても遅い
(コーシカ訳)
Теперь поздно извиняться.
研究社でпоздно を引くとそのものズバリがありました。
・謝るという行為そのものを話題にしており
(誰が、かはあまり重要とは感じません)
・力点は「遅い」にある
ために不完了体の不定形が続いている、と考えます。
さて、正解は
不必要→不適切・不本意と考えるのですね。
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正解です。不適切と不本意を同じように書いてしまいましたが、それは間違いでした。いずれ解説しますが、不必要から派生したのは嫌気、不適切で、不本意は完了体の領域です。『新訂和文露訳入門』6-2-6-3項を参照ください。