2013年08月28日

●続和文解釈入門第197回

ロシア語には日本語同様、英語のような時制の一致がないと考えられている。

(彼は彼女を愛していると言った)Он сказал, что любит её. <He said that he loved her.>
(彼は彼女を愛していたと言った)Он сказал, что любил её. <He said that he had loved her.>

 ところが、第196回の出題のように、思考や感覚を扱う動詞群видеть/увидеть(見える)、думать/подумать(考える)、забывать/забыть(忘れる)、знать(知っている)、казаться/показаться(思われる)、наблюдать(観察する)、понимать/понять(理解する)、решать/решить(決めつける)、слышать/послышать(聞こえる)、смотреть/посмотреть(見る)を主文の動詞が過去形となる複文では、従属節が現在の時制でも過去の時制でも意味は変わらないとされる。

(彼が私を待っていることを私は知っている)Я знал, что он ждёт (ждал) меня.
(彼女は店が閉まっていると考えた)Она думала, что магазин (был) закрыт.
(彼女には彼が手紙を読んでいるのが見えた)Она видела, как он читает (читал) письмо.

 このような動詞でも考えや主観的態度を示す動詞が主文の場合は、従属節が現在の時制であるのが普通であるが、従属節が繋辞(~は~である)、存在や場所を示す場合にはбытьの過去形を使った過去の時制が使われるという。

(最初の会話やトンネルを検査した後で、オルロフは熟練の技師だということが分かった)После первого же разговора и остмотра туннеля я понял, что Орлов был знающим инженером.

「見る」や「聞く」という動詞については、こういう場合過去の時制が出やすいとされる。なぜこうなるのかを確実に説明はできないが、これは過去の時制が確述(確言)という具体的な現実を示すものであり、現在が歴史的現在の用法のように、ビビッドな主観的ニュアンスを示す事から説明できると考える研究者もいる。19世紀の作家はフランス語が堪能であり、フランス語の間接話法の用法からロシア語に入ったのだという説もある。

出題)「建設資材のテストのときに耐水性の程度がどのくらいかを決めて下さい」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年08月28日 07:17
コメント

Определяйте, какая степень водонепроницаемости должна быть при испытании строительных материалов.
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絶対間違いだとは言いませんが、なぜ不完了体命令形(この場合促しの用法でしょうが)が来るのでしょう?促し(着手)というのは周りの雰囲気で、その動作をすることを周りが理解している場合ですから、通常はスタートの合図のようなもので、補語は来ないのが普通です。補語というのは新規の事柄そのものであり、新規の事柄であれば、完了体命令法が来るのが普通です。私の答えは、При испытании строительных материалов определите степень водостойкости.
определитьは性質を判定するという意味である。

Posted by ブーチャン at 2013年08月28日 18:01

(お題)
建築資材のテストのときに耐水性の程度がどのくらいか決めて下さい
(コーシカ訳)
1) Определите в испытывании строительных материалов,
в какой мере водостойкий уровень должен быть удовлетворен.
2) Определите в испытывании строительных материалов,
в какой мере Вы требуете уровня водостойкости.

企画 → 仕様決定 → 設計 → 見積 → 施工 → 竣工
という流れでの仕様を決める場面での発言と考えました:
耐水性に関してどれくらいの水準を求めるのか試験結果を見ながら決めてください、
という意味と捉えております。
определите と完了体なのは
・具体的な内容を決めること
・決めるのが発話時点より未来であること
・繰り返しではなく1回の動作を念頭に置いていること
などを考慮しております。
строительные материалы は不定の複数です。
仕様決定(かどうかはわかりませんが)であれば複数の資材を試験して
最適なものを選ぶという過程を経るかも、と考えました。
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体の用法は正確です。「~のときに、~の際」は、書き言葉のпри + 前置格(動名詞が多く、при свете, дожде, температуреという言い方もする)を技術ロシア語では使います。一方в + 対格(時間を示す名詞)です。

Posted by コーシカ at 2013年08月28日 21:09

Когда испытаем строителные материалы, определите, пожалуйста, в какой степени водапроницаемость.
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когда испытаем...определитеと完了体が続くと、順次的用法であり、動作が次々と行ったという印象を受けます。ところが、機械テストというのは、結果が出るまである程度時間がかかるのが普通です。かといってиспытыватьは反復を示しますから、この場合は使えないでしょう。когда испытатьとするか、複合動詞кога будем проводить испытаниеを使うか、できれば設問には主語が明示されていないので、被動形動詞過去短語尾を使うとか、主語をмыにしない方がよいでしょう。もっと言うとпри испытанииとするのが、ベターということになります。
 водонепроницамость (お答えのводапроницаемостьはタイプミスですし、透水性です)は、水密性ということで、耐水性はводостойкостьです。

Posted by ゴ at 2013年08月28日 23:58
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