2013年08月27日
●続和文解釈入門第196回
拙著『新訂和文露訳入門』7-1項に挙げた動詞群は不完了体のほうは、試み、努力、つまり一定の結果を得ようとした動作(志向)を示す。用法的には過程や反復の用法であろうが、умиратьのように過程で使えるが、反復では使えず、даватьのように反復では使えるが、過程では使えないという動詞もあるので注意が必要である。一方、完了体動詞では結果達成の実現を意味する。第195回の出題のこともあり、ご参考のために7-1で挙げなかった動詞を追記する。
брать/взять(取る)、бросать/бросить(投げる)、возвращаться/вернуться(帰る)、вспоминать/вспомнить(思い出す)、вставать/встать(起きる)、встречать/встретить(見かける)、входить/войти(入る)、выполнять/выполнить(達成する)、давать/дать(与える)、делать/сделать(する)、догонять/догнать(追いつく)、доставать/достать(届く)、доставлять/доставить(届ける)、достигать/достигнуть(達する)、забывать/забыть(忘れる)、эажигать/зажечь(燃やす)、заканчивать/закончить(終える)、закрывать/закрыть(閉める)、запирать/запереть(閉じる)、засыпать/заснуть(寝入る)、исчезать/исчезнуть(消える)、класть/положить(置く)、кончать/кончить(終える)、лишать/лишить(奪う)、ловить/поймить(捕まえる)、ложиться/лечь(寝る)、ломать/сломать(壊す)、надевать/надеть(着る)、начинать/начать(始める)、опазыдывать/опаздать(遅れる)、опускать/опустить(落とす)、останавливаться/остановиться(止る)、отговаривать/отговорить(しないように説得する)、открывать/открыть(開ける)、отправляться/отправиться(出発する)、падать/упасть(ころぶ)、переставать/перестать(止める)、подавать/подать(出す)、поднимать/поднять(上げる)、покупать/купить(買う)、получать/получить(受け取る)、портить/испортить(だめにする)、посылать/послать(送る)、привыкать/привыкнуть(慣らす)、придумывать/придумать(考えつく)、принимать/принять(受け入れる)、продавть/продать(売る)、происходить/произойти(起こる)、просыпаться/проснуться(目覚める)、проходить/пройти(過ぎる)、пускать/пустить(放す)、садиться/сесть(すわる)、сдавать/сдать(渡す)、снимать/снять(取り去る)、спасать/спасти(救う)、ставить/поставить(置く)、становиться/стать(立つ)、убеждать/убедить(確信させる)、убивать/убить(殺す)、уговаривать/уговорить(説得する)、уезжать/уехать(去る)、умирать/умереть(死ぬ)、успокаивать/успокоить(落ちつかせる)、утешать/утешить(慰める)、хватать/схватить(つかむ)など。
出題)「彼女は店が閉まっていると考えた(思った)」をロシア語にせよ。
Она думала, что
магазин закрыт.
------------------------------
正解です。私の答えは、Она думала, что магазин (был) закрыт.
ロシア語には時制の一致がないことになっているが、この場合はбылを入れても、入れなくても正解である。詳しくは次回説明する。
Она подумала, что магазин не работает.
(закрыли)
-----------------------------
подуматьは、「少し考える、~と考えるに至る、よく考える」という意味で、最新のアカデミー版露露では、думатьに対のペアとはなっていません。4巻本のアカデミー版1984年版では、思うという意味でペアにしていたのと対照的です。『新訂和文露訳入門』7-2項にある動詞で、по-は1回の具体的動作を示す印と考えるという意味で、フォーサイス先生、ラスードヴァ先生他は体のペアと考えてきたわけです。しかし、日本語の出題にある考えた(思った)というのは、「考えついた、思いついた」と違い、ある程度期間を示すように思うので、この場合は不完了体が自然だと思います。お答えは出題とは違った意味に取られる可能性が高いように思います。
закрылиとすると動作を示しているわけで、店を閉めたばかり(結果の存続)、ないしはアオリスト的用法となり、発話の時点で店が閉まっている確率は高いとは思いますが、確実ではありません。
подуматьについては和文解釈入門第131回設問にも書いておきましたので、ご参照願います。
(お題)
彼女は店が閉まっていると考えた(思った)
(コーシカ訳)
Она посчитала магазин закрытым.
店が閉まっていると考えて、彼女は別な手を打った
という意味の文と捉えました。
посчитала (もしくはсочла) は過去の明確な一時点を指す
アオリストです。
думать に対応する完了体は必ずしもподумать ではなかったように思います。
研究社にも
…と思う;…と考えるの意味でのдумать は不完了体のみとの記述があり
同義語としてсчитать が挙げられておりました
(研究社、526頁、думать)。
さて、正解は
おぉ、不完了体?
-----------------------------
считать = расценивать каким-либо образом, воспринимать как-либо; иметь какое-либо мнение, полагатьということで、この語義ではдуматьのシノニムですが、単純に様子を見てそう思ったというよりは、評価して、自分なりの意見を持っているということですから、アオリスト的用法で使えるかどうかは疑問です。不定法なら完了体でも可能でしょう。
подуматьはдуматьの体のペアではないと私も思いますが、順次的用法などではдуматьの代わりに、使います。
"Трамвайчики!" - подумала Даша и босиком побежала к окну.(「路面電車だわ」とダーシャは思って、裸足で窓の方へ駆けだした)