2013年08月25日
●続和文解釈入門第194回
ある方から体の参考書として、A grammer of Aspect, J. Forsyth, Cambridge Universty Press, 1970を紹介された。うまい具合にアマゾンにあったので、入手し、今読んでいる最中である。この本の評価は全部精読してから本コーナーに書くつもりだが、これまで読んだ感じでは、ロシア語を母語としない外国人向けには非常に系統的に書かれている非常に良い体の教科書である。ロシアやソ連でも体の参考書はいくつかあるが、ロシア人にとって常識的なことは省略されていることが多い。そういう意味で、もし大学の時に、この本があれば、すぐには理解できなかったかもしれないが、体の用法について非常に短期間で会得できたような気がする。個々の項目、例えば動詞の接辞であれば、Изучение глагольных приставок, Барыкина-Добровольская-Мерзон, Русский язык, 1981の方が詳しく、用例も豊富だというようなことは言えるが、これらは参考書であって、本書のような系統的な教科書があるのなら、会話の和文露訳だけということなら、このような参考書は特に必要とは思えないと思う。お店で言えばone-stop shopのようなものである。ただ1970年出版の本なので、遂行動詞や結果存続兼評価型動詞の記述はないような気がするし、会話における英文露訳に不可欠と思われる現在の時制の被動形動詞過去短語尾の用法も書いてあるかどうか楽しみである。系統的に体の用法を勉強としたい人向けには是非お勧めする。
出題)「でも私は調べるよう命令されたのです」をロシア語にせよ。
Всё-таки мне отдали
приказ чтобы
проверить.
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語結合的には、отдать приказ о + 前置格(по + 与格)のはずです。私の答えは、Но мне велено узнать.
(お題)
でも私は調べるよう命令されたのです
(コーシカ訳)
Но мне приказали расследовать.
・приказали は完了体過去による結果の現存
(発話時点より過去に命令を受け、命令は今も効力がある)
・調査は時間がかかる性質のものと考え、расследовать と不完了体を
それぞれ充てております。
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正解です。расследоватьは完了体・不完了体同形ですが、приказалиのような叙想語のあとでは、主観的ニュアンスをもつはずですから、具体的な1回の動作として完了体不定形のはずですが、期間を想定すれば不完了体もあり得ます。「調べる」を、どうなのか突き止めると理解するかどうかは、人それぞれですが、お答えは警察が捜査するというように取れます。
Но мне велели изучить.
ТРКИは問題文も含め全部露語です。スピーキングと作文除き択一式のтестです。露語をからめて東京旅行気分でしたが、コーシカさん仰るとおり(コメント御礼♪)、凄い量で消耗しました。ましてや、露語で仕事する方の知力体力は想像できません。もっと頑張ろうと思いました。
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正解ですが、веленоとする方が多いように思いますし、изучитьを完了体で用いるのはあまりありません。語義的に研究する(ある一定の期間を経て会得する)は、不完了体が多く、Необходимо изучить нужды и особенности края, чтобы уметь управлять с пользой.(益があるように統治するために、(その地方の)入用なものや特色を研究しなければならない)のように、необходимоという叙想語の後には、主観的ニュアンスから完了体が来るために、изучитьを使うというぐらいでしょうし、ある一定の期間に調べ上げて成果を出すというニュアンスのようです。そういう意味でお答えは正しいのですが、現代語ではузнатьを使うほうが自然だと思います。
でも私は調べるよう命令されたのです
Но мне приказали проверить.
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正解です。