2013年08月12日
●続和文解釈入門第181回
前回の出題は不定法の動作の有無の確認の用法だが、不定法でこの用法は珍しい。完了体不定形を使う「~しましょうか?」という構文は、主観的ニュアンスがある、いわば善意の表現である。これを不完了体にすると、してもしなくともどちらでもいいというような、ぶっきらぼうな表現になり、日常生活でこのような失礼な表現を取るよりは黙っているだろうから、あまり使わないと思われる。不定法に不完了体が来るのは動詞にもよるが、そういう意味で非常に珍しいというのである。そうはいっても、するのかしないのかという動作の有無だけが問題であれば不完了体が来る。
(紅茶をお注ぎしましょうか?)Чай налить?
(キャンセルすべきか、せざるべきか?)Отменять или не отменять?
出題)「パイプが詰まったら、どうしたらいいですか?」をロシア語にせよ。
(1) Как быть с засорением трубы ?
(2) Как справиться с
засорением трубы ?
(3) Что надо делать, если труба
засоряется ?
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出題は不完了体を使っても、完了体でも答えられますが、そのニュアンスは違います。それを明確に理解していればよいのですが、そうでなければ問題です。
(1)はкак быть = как поступитьですから、具体的な状況への対処を聞いていることになります。(2)もそうです。(3)はお考えのパイプというものはよく詰まるものであり、それに対してどうするかということでしょう。私の答えは、Что делать, если засорилась труба?
これは相対時制を使った確言(確述)の用法で、具体的な状況におけるものであり、不定法は切迫感を示します。
(お題)
パイプが詰まったらどうすればいいですか
(コーシカ訳)
1) Что делать в случае образования пробки в трубе?
2) Что делать в случае закупорки в трубе?
第59回の「困ったらだれに訊けばいいですか」の流用と
что делатьの組み合わせです。
なぜделатьは不完了体か。
昔からそういう言い方だから、仕様です、ではつまらんなぁ…
パイプが詰まったら仕事にならん→すぐ対応→切迫の不完了体
…でもなさそうですが
パイプを単数にしているのは、特定の部位を話題にしていると考えたためです。
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что делатьは正しく、この場合はчтоに文の焦点があるからであり、切迫の用法であるということと、делать自体が完了体より使用例が圧倒的に多いということからです。что делатьのделать(~する)はこれ自体では動作をするということだけで、文の焦点になることはできないので、不完了体を取るのが一般的だということになります。1)は意味は通じるでしょうが、пробкаは比喩的に栓状のもの(ふさぐような塊)ということで、日常会話では使わないでしょう。2)закупоркаは医療用語で閉塞などに使いますが、動詞はともかく、名詞ではパイプには使わないでしょう。
パイプが詰まると言えば
パイプの内側の汚れやぬめりのこともスケールと言いますね。
英語はそのままです。
scale [U]
a white substance that forms around the inside of
hot water pipes or containers in which water is boiled
(ロングマン現代英英辞典、1554頁、桐原書店、2009年)
対応する露語は配管の中身によって
нагар(煤、カーボン); накипь(湯垢); (соле)отложение(堆積物)
あたりでしょうか。
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鉄鋼用語ではスケールはокалинаと言い、鉄、鋼の黒皮、酸化皮膜であり、нагарは燃焼の時の酸化被膜を指します。湯垢накипьもスケールと言うと広辞苑にあります。
パイプの内側の汚れやぬめりはスケールとは言わないでしょう。スケールは塩類が析出したものです。
Если трубка забьётся, что сделать с ней?
(万一)~のときは…する、はсов。
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если以下が不完了体で、主文が完了体というのはおかしい。つまりその小さなパイプはよく詰まるものであり、そうであれば主文も不完了体にすべきです。完了体には具体的な1回の行為というニュアンスがついてきますから、万一詰まったらというのを完了体にしないとおかしいということになります。
>パイプの内側の汚れやぬめりはスケールとは言わないでしょう。
>スケールは塩類が析出したものです。
ご指摘ありがとうございます。間違えて覚えておりました。