2013年08月11日
●続和文解釈入門第180回
前回の出題は経験という用法からであり、動作の有無の確認(動作があったかどうかが不定)である。このような場合には多回体ないしは、不完了体が用いられる。経験は反復と同じ用法と考えてよい。特に疑問文の場合は、多回体を使えば、1度ないしはそれ以上というニュアンスが出せ、より不定の意味が明確になるし、否定文では否定の強調となる。
(モスクワに行かれたことはありますか?)Вы раньше бывали в Москве? <ロシア語での過去の時制の経験(『新訂和文露訳入門』では現在の時制に記載)>
(モスクワに行くことはありますか?)Вы бываете в Москве? <現在の時制の経験・反復Вы летаете в Москву? Вы ездите в Москву?というのも同義である>
(戸外に出るようになればなるほど、〔それは〕結構なことです)Чем больше вы будете бывать на свежем воздухе, тем лучше. <未来の時制の経験・反復>
(この都市にはよき時代というものがあったのか?)Этот город знавал лучшие времена? <多回体>
(輸血をしたことがありますか?)Вам когда-нибудь делали переливание крови?
(負傷したり、挫傷したことがありますか?)Вы были ранены или контужены?
「通う」という意味では、語結合的に都市でなければходитьが使える。必ずしも歩いて行くということではない。
(その劇場に行くことはありますか?)Вы ходите в театр? <一つの劇場だけに>
(芝居に行くことはありますか?)Вы ходите по театрам? <複数の劇場に>
これに対して、下記の文は全て1回の動作に関してである。
(モスクワに〔一度〕いましたか? → モスクワに行って帰って来ましたか?)Вы были в Москве? <(モスクワに一度行ったことはありますか?)という意味にも取れないことはない>
(〔今〕モスクワですか?)Вы в Москве?
(モスクワに行きますか?)Вы будете в Москве?
(血便が出たことがありますか?)У вас был когда-нибудь стул с кровью? <一度でも経験があるかという事で、былが来ている>
(前に大けがをしたりしたことがありますか?)Раньше у вас были серьёзные травмы? <同上>
出題)「カタログをもって行きますか?」をロシア語にせよ。
Взять с собой
проспекты ?
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完了体を用いたということは、主観的ニュアンスがあるということで、お答えを和訳すれば、「カタログを持って行きましょうか?」となります。詳しくは次回の本文で解説しますが、私の答えは、Проспекты брать?
不定法の動作の有無の確認ゆえに、不完了体不定形が来ている。
Нужно ли взять с собой каталоги?
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お答えは「カタログを持っていく必要があるのか?」ということですが、これは出題とは違います。それにнужно ли? = ненужноということですから、不必要ということです。そのため不完了体を使わなければ間違いと言うことになります。
出題は単に持っていくか行かないか聞いているに過ぎません。каталог というのは部品型録のように分厚く本のようになったもので、памфлетは政治ビラを指します。
(お題)
カタログをもって行きますか
(コーシカ訳)
1) Возьмете ли Вы каталог?
2) Вы будете нести с собой каталог?
бытьと不完了体を使った未来で動作の有無の確認
…と思っておりましたが
братьは瞬間的に動作が成立するためこの用法に適さず
とありましたので、1)では完了体のвозьметеを使っております。
2)は「お持ち帰りнести с собой」を使えるのでは、と思い投稿してみました。
この場から持ち帰る、と一定方向の動きとして描くであろうと予想し
定動詞のнестиを充てております。
カタログは聞き手が注目している特定のメーカーないし商品に関する
1つないし1種と考え単数です。
さて、正解は
ありゃ
бытьの未来形にこだわらなければбратьは使えたのですか。
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нестиはидти同様、始発の意味がないので、いきなりбытьの未来形とは使えません。каталогについてはゴさんのところのコメントを参照ください。