2013年07月28日
●続和文解釈入門第166回
ウクライナ大飢饉を扱った小説にВасилй Гроссманワシーリー・グロスマンのВсё течёт...『万物は流転する…』(原稿の出来上がりは1963年)があると知ったが、未読だった。家の中を捜したら、幸いなことに20年前に買ってあった1994年版を見つけたので、それを読んでみた。収容所、ウクライナの飢餓テロ、密告者など当時のソ連社会の縮図を描いた名品と言える。本書ではロシア人の隷属性についておよび自由の尊さについて述べている。この中で農業集団化や収容所などについてグロスマンは直接指示した下手人はスターリンであることは明白だが、これら諸悪の根源はレーニンにあり、レーニンにとっては権力奪取が目的であり、そのためには自由という概念には一顧だにしなかったと述べている。当時としては非常に斬新な勇気ある主張だと言える。和訳もあると思うので是非一読を勧める。この他にグロスマンで有名なのは、『正義を求めてЗа правое дело』と『人生と運命Жизнь и судьба』の二部作であり、合わせて1300ページを超える大作である。1960年代共産党のイデオロギーを担当していた政治局員のス-スロフが、この2作がソ連で出版されるとしたら、それは250年後だと言ったので有名であり、ソ連はその後30年を経ずして滅んでしまったのは歴史の皮肉である。この2冊は15年前くらいに読んだ。日本で出ている『人生と運命』はページ数が900ページとあるので、第2部だけの訳ではなかろうかという疑問もあるが、いまさら日本語で読む気もないのでご興味ある方にお伝えしておく。
出題)「彼女は二十歳に見える」をロシア語にせよ。
(1) Она выглядит как
ей 20 лет.
(2) Ей, смотрю, 20 лет.
---------------------------------
(1)のкакの後は、выглядетьが自動詞ですから、主格の名詞しか来ない、つまり節は来ないと思います。(2)のсмотреть на + 対格には評価するという意味がありますが、そういうことを考慮しても、彼女は20歳だと評価するということにはならず、つまり日本語で、「私が見るに、彼女は20歳だ」とはならないと思います。私の答えは、Она выглядит на 20 лет.
Она выглядит как двадцатилетняя. でもよい。
Она выглядит лет на двадцать.
------------------------------------------
お答えだと「彼女は20歳ぐらいに見える」となりますが、「見える」ということ自体が、外見はということで、確定したものではないのですから、屋上屋を架すの類だと思います。
(お題)
彼女は二十歳に見える
(コーシカ訳)
Она кажется лет двадцати.
研究社の例文を参考にしました(775頁、казаться)。
Он кажется ребенком. 彼は子供みたいだ。
На вид на казалось лет двадцати двух или двадцати трех.
一見彼女は22歳か23歳に見えた。
現在の状態を表す不完了体を使うと思います。
さて、正解は
выглядетьですか。全然違た…