2013年07月24日
●続和文解釈入門第162回
質疑応答の時の「(何か)ご質問はありますか?」は、下記のどちらでもよい。
Вопросы есть?
Вопросы будут?
最初のは現在の時制だから、頭の中に質問としてあるのかという意味でも、具体的な質問が既にあるのかという意味にもなる。一方、二つ目のは未来の時制だが、頭の中にある質問が一瞬後、具体的な形に現れるのかということになる。このように現在の時制と未来の時制が重なり合う場合もあるわけである。前にも書いたが、現在といっても現在のこの一点の前後、つまり過去と未来を含む場合も多々ある。
「マッチはありますか?」は、Спички есть? だが、これをСпички будут? とするのは一般的ではない。魔法じゃないのだから一瞬で物体が現れることがないし、現れたとしても一瞬後からかなりたってからである。つまり質問のように抽象的な概念はこの限りではない。
出題)「その触媒の不活性化の原因は何か?」をロシア語にせよ。
В чем есть причины
инактивации этого
катализатора ?
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正解です。ただこのような表現は、技術ロシア語やビジネス会話ではあまり使われないように思います。また使うにしても、普通はв чём причинаと単数が来るのが多いように思います。複数だと不定、つまり原因が複数あるか、全く分からないという意味ですが、単数だとある程度原因は(あるいは一つの原因であることは)分かっているというニュアンスです。不活性化、出題では「触媒の失活」はдезактивация катализатораが普通です。特に石油関係ではよく使います。деактивация でもよいのですが用例は少なく、инактивацияはほとんど使いません。私の答えは、Чем объясняется дезактивация катализатора?
「原因は何か」という構文で、技術ロシア語でよく使われる語結合を示す。
Что является причиной коррозионного растрескивания этой стали?(この鋼の腐食割れの原因は何ですか?)
Чем вызвана биологическая коррозия материала?(その材料の生物学的腐食の原因は何ですか?)
С чем связан разный температурный режим процесса очистки?(浄化プロセスのいろいろな温度条件は何に関係があるのですか?)
С чем вы связываете эти боли?(この痛みの原因は何ですか?)<状態の動詞>
Какие причины деактивации катализатора?
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正解です。Какие причины вызывают дезактивацию катализитора?とするともっとよく使われる表現になります。
(お題)
その触媒の不活性化の原因は何か
(コーシカ訳)
Что привел (тот) катализатор к неактивированному?
完了体過去による結果の現存と考えます。
・不活性化という過去の明確な一点を意識しており
・その結果も現在まで残っている(かどうかはわかりませんが
それを踏まえての話であるのは間違いなさそうです)
と思われるためです。
さて、正解は
ありゃ
不完了体現在の-ся動詞の受身でしたか…
不活性化はやっぱり定語дезактивизацияがあるのですね。
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触媒の場合は不活性化ではなく、専門用語では失活というのですが、出題は不活性化としておきました。不活性自体はинактивацияが化学や生物学でよく使われますが、触媒の場合は私の答えのように決まった語結合がありますので、それを使うべきです。дезактивация自体は、一般的には除染という意味で広く使われます。今回の出題の狙いは、このような語彙ではなく、体の用法にあります。出題に関しては不完了体、完了体の二つとも使うことができますが、はっきりとした使い分けがあります。つまり出題の日本語をどのようにとらえるかによって体も違ってきます。その不活性化というのを具体的1回の動作ととらえれば、Чем вызван(а, о, и) ...? С чем связан (а, о, и) ...?というような、結果の存続の用法を使うべきですし、動作の反復と見なせば、不完了体現在形が来ます。ですから体の用法について言えば、使い方は間違っていないと言えます。ただ触媒のように化学金機で使われるものは不活性化するものであり、一般的には反復と取る方が多いのではないかということも言えます。」