2013年07月11日

●続和文解釈入門第149回

不完了体未来形に未来を示す語句が絶対来ないという事ではない。明日などの時を示す語句が未来の時間軸の一点を示し、そこでその動詞の語義にある動作が完遂すれば完了体未来形を使い、未来の一定の期間を示したり、そこに文の焦点が来ないなら不完了体未来形が来るということになる。

(明日練習問題をやる)Завтра Я буду решать задачи. <明日ということだけで、明日中かもしれないし、明日のいつの時点ということを明示しない。また完了体と不完了体では意味が異なる>
(明日その練習問題を解く)Завтра я решу задачи.
(2時に昼食を取る)В два часа я буду обедать. <「2時に昼食を食べる」という動作があるという事を示しているのであって、必ずしも完遂を意味しない。完遂を意味しない以上、具体的な時を示す語句と不完了体未来形の使用は一般的ではない>
(2時に昼食を取る)В два часа я пообедаю. <この動詞の場合語義から見て、В два часа я обедаю.と不完了体現在の予定の用法を使う方が自然である>
(明日電話する)Завтра я буду звонить ему. <明日中に電話する>
(明日電話する)Завтра я позвоню ему. <不完了体と特に違いはないことになる>
(明日の夜何をなさいますか?)Что вы будете делать завтра вечером? <文の焦点は何をするかであり、特に時間軸の一点を意識しているわけではない>
(仕事を終わりまでやる)Я кончу работу. <動作の完遂>
(仕事を終える)Я буду кончать работу. <終えるという動作があることを示すのみで、終業時間だから(そろそろ)仕事を終えるという意味になる>

出題)「概算の建設費用を決める必要があります」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年07月11日 06:05
コメント

Нам необходимо
определять
ориентировочные
расходы по
строительству.
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学校の試験ということであれば正解と言えます。翻訳をする場合前後の文脈が明らかですから、使う体は一つですし、稀に二つ使えることがありますが、ニュアンスが異なるのが普通です。通訳の場合は前後のうち、前の文脈が明らかな場合が多いのですが、文脈がよく分からない場合があるということと、瞬間的に体を決めなければならないことがほとんどです。そうなると確率ということを重視しなければならなくなります。短文というのは前後の文脈なしですから、これもどういう体がこの短文で出やすいのかということを頭に置く必要があります。
 необходимоという主観を示す叙想語があれば完了体不定形が来るのが普通です。それ以外にも、出題は具体的な1回の行為であることが明確です。そうなると完了体不定形を使うべきです。ロシア文としては不完了体不定形の使用も可能ですが、その場合、訓示などで、反復の意味で、「(常に)概算の建設費用を決めなければなりません」ということになり、非常に不自然に感じます。私の答えは、Необходимо определить примерную стоимость строительства.
определитьは定義する、計測・計算で決める(算定する、測定する))、結論を下す、明らかにする(定義づける)、定める(確定する、特定する)という意味で、決心するという意味では使わない。стоимостьはコスト(原価)という意味である。

Posted by ブーチャン at 2013年07月11日 07:54

Нужно зафиксировать общую приблизительную сумму на строительство.
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正解です。

Posted by ゴ at 2013年07月11日 23:42

(お題)
概算の建設費用を決める必要があります
(コーシカ訳)
Нужно подсчитывать расходы приближительно на строительство.

подсчитыватьと不完了体なのは、必要нужноに文の焦点が来るためです。
расходыは複数で使うのが通常なのですね。
さて、正解は
主観を表す語があるために完了体が来ないとおかしいのですね。
確かに完遂の意味もないと変ですから言われてみると納得です。
そういえばご著書の『和文露訳入門』でも
お金関係などは大事な事だという意識が働くか何かで完了体
と書かれていたような気がします。
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そういうことではなく、出題は具体的な1回の行為と取るのが普通です。нужноという叙想語の後には、具体的な1回の行為には完了体不定形を取りますが、反復なら(出題を(一般的に)建設費用というのは概算をする必要がある)なら不完了体不定形が来るでしょうが、そういう文脈は一般的ではないと言っているのです。焦点が来るというのは、нужноだけで考えるのではなく、述語нужно + 不定形に来るかどうか、つまり、単語に分けて考えるのではなく、主語、述語、補語に分けて考えるという意味です。この場合は述語に文の焦点があるのは明確です。

Posted by コーシカ at 2013年07月17日 21:37

建築の積算はсметаで正しいでしょうか。
英語の場合、積算士はquantity surveyorとあり
対応するロシア語сметчикから推してсметаになりそうですが…
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смета = исчисление предстоящих расходов и доходов, примерный расчётのことですから、積算(一般的には見積)でよいと思います。

Posted by コーシカ at 2013年07月17日 21:38

積算についてのお返事ありがとうございます。

Posted by コーシカ at 2013年07月21日 07:43
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