2013年07月06日

●続和文解釈入門第144回

未来の時制で完了体がよく使われるのは、口に出すかどうかは別にして、動作の完遂を未来の時間軸の一点においているからである。次の文で不完了体未来形が来るのは、注文するかどうかが分からない、ましてやいつ注文するかなど全く分からないからであり、未来の時間軸の一点を確定できないからである。これが動作の名指し(動作の有無の確認)と呼ばれる用法である。

(スペアーパーツを御注文なさいますか?)Вы будете заказывать запчасти?

(スペアーパーツを注文します)Мы заказываем запчасти.<注文することになっているという予定の用法で、過程(進行形)の用法から発展したもの>
(スペアーパーツを注文します)Мы закажем запчасти. <注文するという動作が未来の時間軸の一点に起こるわけで、特に何も文脈がなければ今すぐ(一瞬後)注文するという事になる>

出題)「オイル漏れの有無を確認しなさい」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年07月06日 07:32
コメント

Проверь наличие
утечки масла.
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正解です。完了体命令形を使っているので、聞き手にとっては予想外の指示ということになります。そうではなくて、聞き手がそのような指示を想定していたとしたら、次に述べる私の答えのようになります。Производите проверку отсутствия утечки масла.
「オイル漏れがないことを確認しなさい」と同義。「有無」の露訳について例を挙げてみる。
Наличие или отсутствие у данного объекта индивидуальных свойство несущественно.(当該対象の個性的な性質の有無は本質的なものではない)
если наличие/отсутствие определения в данном случае играет роль(この場合定語の有無に意味があるなら)
上の文のように、直訳するのは例外的だと言える。くどいので、次の例のように、有か無かどちらか、文の意味の焦点がある方で代用するのが普通である。
осуществлять экспертизу на наличие в продукции семи отравляющих веществ(製品に7つの中毒性物質の有無を鑑定する)<присутствие(有)、отсутствие(無)>
Каковы указания в пользу или против существования промежуточного бозона?(中間ボゾンの存在の有無を示すものは何か?)
При междусменном осмотре машины проверяйте наличие топлива.(交代前のチェックで燃料の有無を確認しなさい)

Posted by ブーチャン at 2013年07月06日 08:37

Проверите, просыпается ли смазочное масло.
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言葉の選択に誤りがあります。сыпатьは粉体に用いられますが、出題のオイルは液体です。この場合はこぼすという意味ならпролитьを使うべきです。それを別にすれば、просыпаетсяと不完了体現在形を用いているのは、反復という意味でしょうか?пролитоとしなければ、おかしいと思います。しかしオイル漏れとオイルのこぼれは違います。それと短文だけ見れば、具体的な1回の動作ということで完了体命令形を使いたいという気持ちは分かりますが、実際の会話では、聞き手がこのような指示を想定していない場面というのは稀です。想定しているならば、場依存型ということで不完了体命令形が来ます。そのほかにも訓示などで、反復(毎回)の命令ということであれば、当然不完了体が来ます。

Posted by аяка at 2013年07月06日 12:48

Убеждайтесь в том, есть ли утечка масла.
昨日もすみません。
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正解です。別に謝ることはありません。私のためにではなく、自分のための勉強でしょうから。体について分かりかけてこられたようです。もともとレベルは上級(つまりはプロ級)ですから、ちょっとしたボタンの掛け違いが分かれば、後で振り返るとなーんだこんなつまらないことで迷っていたということが得心されるでしょう。

Posted by ゴ at 2013年07月06日 23:39

いつも丁寧な添削をありがとうございます。
ところで、просыпаетсяと不完了体現在形を使ったのは、動作の有無の確認というつもりだったんですが、そういった意味で不完了体現在を持ってこれるんでしょうか?

なので、動詞を改めて、
Проверяйте(проверьте), утекает ли масло.
としても良いんでしょうか?
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動作の有無の確認というのは、その言葉通り、動作がすでに行われていないか、行われようという未来でないと確認できなわけです。現在以外の時制や法では可能です。つまり現在の時制では一般的に不完了体しか用いられないので、完了体と不完了体の体の対立は起きないわけです。完了体が現在の時制で用いられるのは結果の存続(完了体過去形か、被動形動詞過去短語尾の現在の時制)というように、動作が終了していることが前提です。
 上記で書いたように、動作の有無の確認(動作の名指し)という用語は、現在の時制では不適当ですが、この用法の意味は動詞の語義そのものということで、総称時(一般的には~である)という用法で出てきます。

(地球は太陽の周りをまわっている)Земля вращается вокруг Солнца.

 このように不完了体現在形は一般的な事柄を指しますが、他には反復か過程の意味で使います。出題は反復ではないので、お答えのутекаетは、過程のつもりということなら理解できます。ただ漏るという意味ならтечьかпротекатьが一般的です。утекатьは漏ってなくなるという意味なので、утечьという完了体がよく使われ、不完了体は使われるとすれば反復の意味でしょう。

(天井が漏っている)Потолок течёт (протекает).

 しかし、漏れの有無というのは、現在オイルが漏れている(過程)かもしれないし、すでにオイルが全部漏れ出てしまって、漏れ自体は止まっているかもしれない、あるいはオイルによっては粘性が高く自然と穴がふさがってしまって今は漏っていないかもしれないというすべてを示しているわけです。つまり今漏れてなくともオイルの漏れ跡があれば、漏れていたわけで、なければ漏れていないということなのです。そういう意味で、過程を使っても、被動形動詞過去短語尾の現在の時制を使っても、正確な訳にはならないということになり、ここは有無を名詞で表現するしかないと思います。
 『新訂和文露訳入門』にも書きましたが、体の本質は同じでも、時制や法によってより強く出る用法があります。動作の有無の確認というのは、動詞そのものの語義をニュアンスなしに用いるもので、過去の時制で一番分かりやすい形で出ますが、現在の時制では現在が常に動いているので動作の有無が確認できないため、総称時という形でしか出ない、つまり時制や法の制約があるわけです。まず体の本質に目を向け、それを各用法で確認するというのが体の用法を会得する近道です。

Posted by аяка at 2013年07月07日 10:46

(お題)
オイル漏れの有無を確認しなさい
(コーシカ訳)
Осмотрите нет ли течи масла.

新規の命令と考えて完了体にしました。
さて、正解は
漏れがあるのは当然悪いこと、と考えて不完了体なのですね。
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何か勘違いをされているようです。この場合は、完了体が来れば新規の動作ですし、不完了体が来れば、促し(着手)です。促しであれば、聞き手はチェックすることを当然と考えており、指示を待っているという前提がありますが、完了体では、そういう前提がないか、無視するというニュアンスです。
 確かに望ましくないものに不完了体が使われるというのは、不必要の延長的考えで、不定法でよく見ますが、命令法では特に考える必要はないでしょう。不定法では叙想語の役割が大きいですが、命令法では叙想語は普通は使いません。
 осмотретьというのは、外観チェックをするですから、出題の文を考えると、間違いです。

Posted by コーシカ at 2013年07月17日 21:18
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