2013年07月03日
●続和文解釈入門第141回
ロシア語はロシア文学などを読めればよいとお考えの方、つまり会話に興味のない方も体の使い分けは覚えておいた方がよい。なぜかというと文章の細かいニュアンスが分かるからである。それによっていわゆる、この時作者がどういうニュアンスで書いたのかを、謎ときのように推理という形で再体験できるからである。
出題)「古代の自然神は徐々に、国家の守護者である国家の神に変わった」をロシア語にせよ。
Древний естественный бог
постепенно
превращался в
государственный бог,
являющийся
охранителем
государства.
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不完了体過去形を使ったということは、動作の有無の確認、過程、繰り返しを示しており、動作が完遂されたかどうかは分からないことになります。ところが、出題では「神に変わった」とあり、完遂したことは明らかです。私の答えは、Древние боги природы постепенно превратились в государственных богов – покровителей государства.
「徐々にпостепенно, исподволь」は過程という事なら不完了体が来るが、動作の完遂を意味する場合には完了体が来る。
Древное божество природы постепенно изменялось в государственных богов, которые являются хранителями державы.
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ブーチャンさんと同じ発想ですが、不完了体過去形を使ったお答えは間違いです。それと「変わる」という意味では、превратитьсяは状態や外見が変わる(魔法などで化ける)という意味ですが、изменятьсяは「別なものになる」ということで、部分的な変化も示すことができます。
Цвет его лица изменился.(彼の顔色が変わった)
日本語で言えば、漢字では同じく書く「変化」の「へんげ」と「へんか」の違いに近いかと思います。
(お題)
古代の自然神は徐々に、国家の守護者である国家の神に変わった
(コーシカ訳)
Древние боги природы шаг за шагом обращались в государстванных как защитника страны.
обращалисьと不完了体過去なのは、「徐々に」と
ある程度の期間に亘って変化が生じたことを示す語句があるためです。
защитника страныは国家の守護者という分類で一かたまり、と考えました。
さて、正解は
え~~~
完遂の場合はпостепенноと長期に亘る期間を示す語があっても完了体が使えるんですか!
紛らわしい…
結果の現存?いやいや動作の一括化かな
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完了体が使えるのではなく、使うのです。これはアオリスト的用法で、文脈によっては結果の現存になります。動作の一括化のためには「何度か、数回」などの語句が必要ですし、пре-という接頭辞では基本的には使わないでしょう。