2013年06月26日

●電子書籍 新訂和文露訳入門発売開始

『和文露訳入門』を2012年7月末に上梓してから11カ月経った。私にとっての最初の電子書籍だったということもあり、出来上がりに不満も多い。Первый блин да комом.(初めてに失敗はつきもの)である。今回電子書籍販売サイトDLmarket(DL-MARKET改め)も全面リニューアルとなり(スマートフォンやタブレット全面対応は7月かららしい)、それに合わせて独りよがりだったかもしれない説明を、より分かりやすくするということに主眼を置き、語用論の観点もより多く取り入れて、新訂版を上梓することにした。その後11ヶ月間のブログの「和文解釈入門」や「続和文解釈入門」に発表した新しい知見についても十分に新訂版に反映させることにした。誤植訂正、アクセント表示のアポストロフィーから下線への変更、人称の転用などいくつかの項目の追加、既存の項目の例文の追加・削除、否定の用法、遂行動詞、複合動詞、複合副詞句の語句の追加、挙げられている動詞例の完全アルファベット化などである。特に遂行動詞や結果存続兼評価型動詞に関しては自分なりの理解がかなり進んだので、それらを中心に全面的に見直した結果、初版に比べ100ページ以上加筆訂正し、総ページ数が400近くとなり、(小)見出しも217(体の用法は87)となった。これは満を持しての改訂版であり、会話で和文露訳をする上で、あらゆる文の組立てを想定し、それを目次の形にまとめてある。会話ではこのような文の組立てと語彙の理解が不可欠だが、語彙に関しては、拙著の『アネクドートに学ぶ実践ロシア語文法』(東洋書店、2008年12月刊)、『ロシア語基本熟語500』(東洋書店、2009年8月刊)、『るいごプラス!』(電子書籍 DL-MARKET、2012年8月刊)、『女性のための技術ロシア語』(電子書籍 DL-MARKET、2012年9月刊)、『観光ロシア語』(電子書籍 DL-MARKET、2012年9月刊)他でかなりの部分をカバーできると思う。この本書は全面改稿版であり、現時点における私の和文露訳に関する考えかたのすべてをまとめた決定版と言える。語彙の丸暗記ではなく、考える学習法を目指している。今までいくつか本を出版してきたが、この新版がロシア語学習者には一番役に立つ参考書になると考えている。定価1050円。

目 次
はじめに
<本書の使い方>
<体の使い分けの簡単な目安13ヶ条>
第1章 体の本質と規範
第2章 過去の時制
2-1 過去の時制における不完了体の用法
2-1-1 過去の出来事や動作の有無の確認 → 不完了体動詞過去形
2-1-1-1 過去の時制における動作の有無の確認とは何か?
2-1-1-2 動作の有無の確認の用法の種類
2-1-2 動詞に文の焦点が来ない場合 → 不完了体動詞過去形
2-1-2-1 動詞に文の焦点が来ない場合とは何か?
2-1-2-2 過去の否定の用法
2-1-3 動作の往復
2-1-4 過去の過程(進行形) → 不完了体動詞過去形
2-1-5 漸進・一定期間に関わる用法 → 不完体動詞過去形
2-1-6 過去の反復 → 不完了体動詞過去形
2-1-7 過去の継続 → 不完了体動詞過去形
2-1-8 歴史的現在 → 不完了体動詞現在形
2-1-8-1 歴史的現在とアオリスト的用法の関係
2-1-8-2 動作の順次性
2-1-8-3 歴史的現在と完了体未来形
2-1-8-4 劇的現在
2-1-8-5 動詞以外の歴史的現在
2-1-8-6 日本語の歴史的現在との違い
2-1-8-7 記録の現在
2-1-8-8 歴史的現在とアオリスト的用法の違い
2-1-8-9 歴史的現在が使えない動詞や場合
2-1-8-10 結果の非存続
2-1-9 意志の欠如 → не стал(а,о, и) + 不完了体動詞
2-1-10 過去の予定 → 不完了体動詞過去形
2-1-11 過去の経験 → 不完了体過去形

2-2 過去の時制における完了体の用法
2-2-1 アオリスト的用法 → 完了体動詞過去形
2-2-1-1 アオリスト的用法とは何か?
2-2-1-2 アオリスト的用法と結果の存続の違い
2-2-1-3 創作者としての資格 → 完了体動詞過去形
2-2-1-4 順次的用法 → 完了体動詞過去形
2-2-1-5 動作の一括化 → 完了体動詞過去形
2-2-1-6 否定の強調
2-2-2 結果の達成への期待 → 完了体動詞過去形
2-2-3 いったん開始された行為の中断、中止 → 小詞было + 完了体動詞過去形
2-2-4 結果の評価 → 完了体動詞過去形
2-2-5 回想・過去の不規則な反復動作(~したものだ) → 小詞бывало + 完了体未来形(不完了体動詞過去形、不完了体現在形〔歴史的現在〕)
2-2-6 疑問詞 + 主語 + 完了体過去形

第3章 現在の時制
3-1 現在の時制における不完了体の用法
3-1-1 過程 → 不完了体現在形
3-1-1-1 過程の意味
3-1-1-2 過程を示すことができない動詞群
3-1-1-3 過程の意味における日本語との表記の違い
3-1-1-4 ся動詞による非情の受け身と過程の用法
3-1-1-5 その他の過程の用法
3-1-2 反復・習慣 → 不完了体現在形
3-1-2-1 反復・習慣と不完了体
3-1-2-2 過程を示せず、反復のみを示す動詞
3-1-3 過去から現在に至る継続ないしは反復 → 不完了体動詞現在形
3-1-3-1 過去から現在に至る継続ないし反復
3-1-3-2 動詞を使わない用法
3-1-3-3 про-の接頭辞を持つ完了体動詞過去形
3-1-3-4 現在から未来への動作 → 完了体過去形
3-1-4 遂行動詞 → 不完了体現在形
3-1-4-1 遂行動詞を分別する理由
3-1-4-2 過程や状態の動詞との違い
3-1-4-3 遂行動詞の種類
3-1-4-4 結果の存続の用法との違い
3-1-4-5 語義による区別の仕方
3-1-4-6 動作未遂行の動詞 → 不完了体現在形
3-1-4-7 проситьとпопроситьの一人称での使い分け
3-1-4-8 動詞以外の遂行動詞的用法
3-1-5 結果存続兼評価型動詞 → 不完了体現在形
3-1-5-1 結果存続兼評価型動詞とは何か
3-1-5-2 結果存続兼評価型動詞群
3-1-5-3 начинать の現在形の特殊用法
3-1-6 状態の動詞
3-1-7 経験(~したことがある)
3-1-7-1 経験の用法と不完了体過去形
3-1-7-2 経験の否定
3-1-7-3 事実の有無の確認
3-1-7-4 現在を含む経験
3-1-8 動作の否定 → 不完了体現在形の否定
3-1-9 多回体的用法 → 多回動詞の不完了体現在形
3-1-10 真理の提示 → 不完了体現在形
3-1-11 様態 → 不完了体現在形

3-2 現在の時制における完了体の用法
3-2-1 結果の存続(現存)
3-2-1-1 結果の存続〔結果の達成と残存〕 → 完了体過去形
3-2-1-2 結果の存続の否定
3-2-1-3 被動形動詞過去短語尾の結果の存続〔現存〕)の用法 → 現在の時制
3-2-1-4 結果の存続とアオリスト的用法の違い
3-2-1-5 сейчас, теперь, только чтоの違い
3-2-1-6 動詞を使わない用法
3-2-2 否定の強調 → 完了体未来形の否定
3-2-3 不可能 → 完了体未来形の否定
3-2-4 不規則な反復

第4章 未来の時制
4-1 未来の時制における不完了体の用法
4-1-1 単一動作 → 不完了体未来形
4-1-1-1 未来における動作の有無の確認
4-1-1-2 動詞に文の焦点(中心的意味や役割)が来ない場合
4-1-1-3 動作の有無の確認に使える不完了体動詞(動詞の語義による)
4-1-1-4 動作の有無の確認の意味で概ね使えない不完了体動詞
4-1-1-5 運動の動詞と不完了体未来形
4-1-1-6 否定的意図 → не + бытьの未来形(не + статьの未来形) + 不完了体動詞不定形
4-1-1-7 両方の体がほぼ同じ意味で使える場合
4-1-1-8 動作の促し(意志)
4-1-1-9 если, когдаと未来の時制
4-1-1-10 完了体未来形、不完了体動詞現在形、不完了体未来形の使い分け
4-1-2 予定の用法 → 不完了体現在形
4-1-2-1 予定の用法とは何か
4-1-2-2 予定の用法が使える動詞
4-1-2-3 近接未来における予定の用法
4-1-2-4 例外的用法
4-1-2-5 動詞を使わない予定の用法
4-1-2-6 долженとの組み合わせ
4-1-2-7 予想を示す動詞(無人称動詞)
4-1-3 意向 → 不完了体現在形 + 動詞の不定形
4-1-3-1 「~するつもりです、~します」の内訳
4-1-3-2 意向の動詞の使い分け
4-1-3-3 願望の意味の動詞群
4-1-4 未来の反復 → 不完了体未来形
4-1-5 呼応的用法 → 不完了体現在形
4-1-6 未来の時制の不定人称文

4-2 未来の時制における完了体の用法
4-2-1 完遂的用法 → 完了体未来形
4-2-1-1 完遂的用法が用いられる動詞
4-2-1-2 完遂的用法と疑問詞
4-2-1-3 完遂的用法の特徴
4-2-2 順次的用法 → 完了体未来形
4-2-3 例示的用法 → 完了体未来形
4-2-4 未来の時制における往復(行って来る)
4-2-5 未来の時制における被動形動詞過去短語尾
4-2-5-1 未来の時制における被動形動詞過去短語尾の用法
4-2-5-2 ся動詞の不完了体未来形の用法
4-2-5-3 補足事項の説明や挿入
4-2-6 条件法や仮定法への転用 → 完了体未来形

第5章 命令法
5-1 命令法における不完了体の用法
5-1-1 促し(着手) → 不完了体動詞命令形
5-1-2 勧誘 → 不完了体動詞命令形
5-1-3 動作の様態の強調 → 不完了体動詞命令形
5-1-4 禁止 → 否定詞 + 不完了体動詞命令形
5-1-5 反語的用法

5-2 命令法における完了体の用法
5-2-1 要請 → 完了体動詞命令形
5-2-2 例示的意味 → 完了体動詞命令形
5-2-3 丁寧な依頼 → 完了体動詞未来形の否定疑問形
5-2-4 警告(うっかり~しないで) → 否定詞 + 完了体動詞命令形
5-2-5 同じような状況で使える完了体・不完了体の用法の違い
5-2-6 被動形動詞過去短語尾を使って命令の意味を示す用法
5-2-7 憤激と反抗のニュアンス
5-2-8 条件法的・仮定法的用法

第6章 不定法
6-1 不定法における不完了体の用法
6-1-1 切迫感(促し) → 不完了体動詞不定形
6-1-2 不必要 → 不完了体動詞不定形
6-1-3 動作の持続性 → 不完了体動詞不定形
6-1-4 動作の促し・継続・終了
6-1-5 動作の否定や禁止 → 不完了体動詞不定形
6-1-6 動作の有無の確認 → 不完了体動詞不定形
6-1-7 命令 → 不完了体不定形
6-1-8 嫌気(やめたい)の用法

6-2 不定法における完了体の用法
6-2-1 具体的な1回の動作の実現 → 完了体動詞不定形
6-2-2 「~しましょうか?」構文 → 完了体動詞不定形
6-2-3 必要性 → 完了体動詞不定形
6-2-4 命令 → 完了体動詞不定形
6-2-5 不可能 → не + 完了体動詞不定形
6-2-6 例示的用法 → 完了体動詞不定形
6-2-6-1 完了体動詞を好む動詞・名詞などとの組み合わせ
6-2-6-2 例示的意味の不定形を取る熟語
6-2-6-3 遺憾・不本意 → не + хотеть/хотеться + 完了体動詞不定形
6-2-7 不可避・必然
6-2-8 疑問詞 + 不完了体動詞不定形(完了体不定形)

第7章 特異な体のペア
7-1 時制に関係なく完了体動詞と不完了体動詞で意味の異なる動詞群(писать/написатьグループ)
7-2 不完了体動詞の使用頻度が高い動詞群(звонить/позвонитьグループ)
7-3 状態「~である」(不完了体)と状態の発生時点「~となる」(完了体)を示す動詞群(казаться/показатьсяのグループ)
7-4 体の対立
7-5 完了体・不完了体が同形の動詞

第8章 会話に役立つ動詞の用法
8-1 быть動詞の用法
8-1-1 「行く」という意味の用法
8-1-2 軍隊で上官に対する敬語(Есть + 不定形)
8-1-3 есть + 疑問詞 + 完了体不定形(~できるもの〔こと〕がある)
8-1-4 будетの特殊用法
8-1-5 бытьの不定形文
8-2 定動詞と不定動詞の特殊用法
8-2-1 反復の意味の定動詞
8-2-2 過程や予定を示す不定動詞
8-2-3 能力を示す不定動詞
8-2-4 定動詞と不定動詞における否定の用法の違い
8-2-5 運動の動詞 + 完了体動詞未来形(命令形)
8-3 複合動詞
8-4 「意見」と「知識」に関する動詞群の使い分け
8-5 接頭辞за-のつく動詞で場所を補語に取る他動詞群
8-6 хотетьとхотеться
8-7 敬語
8-8 エネルギッシュ型動詞
8-9 可能の意味が内在する動詞群
8-9-1 可能・不可能の意味のся動詞
8-9-2 自発的可能性のся動詞(無人称動詞)
8-10 形動詞
8-10-1 被動形動詞現在
8-10-2 能動形動詞過去
8-10-3 名詞化した能動形動詞現在と被動形動詞現在
8-11 副動詞
8-12 対格補語とо + 前置詞の違い
8-13 「~しましょう」構文

第9章 その他統語論関係
9-1 時制の転用
9-1-1 「行こう」
9-1-2 抽象的現在
9-1-3 想像中の動作の現在
9-2 相対時制
9-3 無人称文
9-4 不定人称文
9-5 迷惑(被害)の受け身
9-6 人称の転用
9-6-1 多くの人への命令 ты = вы
9-6-2 皇帝のмы
9-6-3 著者のмы
9-6-4 医者のмы
9-7 強調構文
9-8 構文「とても~ので~する」他
9-8-1 「とても~ので~である」というтак + 形容詞, чтоの構文
9-8-2 「~するほど~するものない」не так + 副詞, какという構文
9-8-3 「~しすぎて~ない」слишком (чересчур) + 形容詞(動詞、副詞), чтобыという構文
9-9 関係代名詞что
9-9-1 関係代名詞что
9-9-2 前の文全体を受ける関係代名詞что
9-10 主題の提示
9-10-1 テーマとレーマ、はが構文
9-10-2 ウナギ文
9-11 能動受動態
9-12 使役(~〔さ〕せる)
9-12-1 пустьの用法
9-12-2 可能性としての使役
9-12-3 「~を~にする」
9-12-4 恩恵の授受
9-12-5 使役受け身(~させられる)

第10章 会話に役立つ形容詞、副詞、数詞、接続詞、前置詞など
10-1 性質形容詞の特殊用法
10-2 複合副詞句
10-3 単数と複数
10-3-1 単数と複数
10-3-2 「ありますか?」構文
10-3-3 「よくありますか?」構文
10-3-4 単数と複数の使い分け
10-4 形容詞の最上級
10-5 助数詞(助数辞)
10-5-1 助数詞の種類
10-5-2 「種類」の類語
10-6 生格の述語的用法
10-7 持ち主の受け身(全体を示す与格)
10-8 接続詞что/какと知覚動詞
10-9 理由を示す前置詞、前置詞句
10-10 「~のために」の使い分け
10-11 並列接続におけるиの有無
10-12 指示代名詞
10-12-1 日本語の指示代名詞との違い
10-12-2 どれ、どちらか、どちらも
10-13 –тоと-нибудьの使い分け
10-14 чтобыの用法
10-15 時間的前後を示す表現
10-16 コロンとダッシュ
あとがきに代えて
参考文献 

Posted by SATOH at 2013年06月26日 13:28
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