2013年06月16日
●続和文解釈入門第124回
『アネクドートに学ぶ実践ロシア語文法』(東洋書店、2009年)の156ページに、時制について書いて見たが、念のため再録する。これについては、『新訂和文露訳入門』の相対時制の項に再録予定である。
чтоのある従属節の述語動詞の時制は、主節の動詞の時制にはこだわらない。英語のような時制の一致にとらわれないから、その点では日本語に似ているといえる。
a) 従属節の述語が現在のときは、主節と従属節の二つの行為が同時に起こっている事を示す。従属節の和訳が(仕事がうまくいっていると)のとき、主節の訳は、
Мы сообщаю Вам, что дела идут хорошо.(お知らせ申し上げます)
Мы сообщил Вам, что дела идут хорошо.(お知らせしました)
Мы сообщим Вам, что дела идут хорошо.(お知らせする事になります)
b) 従属節の述語が過去のときは、従属節の行為が主節の行為に先駆けて行われる事を示す。
Он сказал, что он работал на заводе.(自分が工場で働いていたと彼は言った)
Он говорит, что он работал на заводе.(自分が工場で働いていたと彼は言っている)
c) 従属節の述語が未来のときは、従属節の行為が主節の行為の後に起こる事を示す。
Он сказал, что она будет занята.(彼女が忙しくなると彼は言った)
Он говорит, что она будет занята.(彼女が忙しくなると彼は言っている)
しかし次のような文では従属節の述語動詞の形は現在形だが、不完了体の用法で説明したように予定(未来)を示している。
Звонила она, что уезжает завтра.(明日発つと彼女は電話した)
出題)「彼の言う事に耳を傾けた人がいなかったか、耳に入らなかったのだ」をロシア語にせよ。
Или никто не слушал
его внимательно, или
ничего не дошло до
ушей.
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二つほどコメントします。主語を変える必要があるのかということと、二つ目の文に完了体過去形を使う必要があるのかという点です。私の答えは、Его не слушали или не слышали.
(お題)
彼の言うことに耳を傾けた人がいなかったか、耳に入らなかったのだ
(コーシカ訳)
Никто не послушал или не услышал, что он рассказал.
никтоって男性単数扱いなんですね。
егоもухо (уши)も繰り返しになって紛らわしいて使われへん…
耳を傾けるは意志が絡むので完了体
耳に入る、彼が言うは過去の動作と考えていづれも完了体です。
能力や恒常的な状態を指すわけではないので不完了体は来ない、とも考えられそうです。
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これだと順次帝用法ですから、動作がぱぱっと、非常に早く推移した感じです。一言聞いてというならともかく、現実的にはどうでしょう?егоは一つつければ十分です。
不完了体はこの他に反復、一定の期間を示す動作は不完了体の領域です。про-という接頭辞を持つ完了体は期間を示せますが、常に終了を意識します。
Наверное, никого не было, кто обращал на него внимание, или вообще никто не слышал.
сообщать кому... お恥ずかしい。Вечерний звон英詩だったんですね。父の新京時代の幼馴染さんの大好きな曲なので、今度教えてあげようと思います。в, наの知識もありがとうございます。
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考えすぎです。слышатьができているのですから、слушатьまであと一歩です。