2013年06月15日
●続和文解釈入門第123回
体の使い分けを会得するには、体の参考書を読むだけではだめで、用例にあたる必要がある。つまり拙著の『和文露訳入門』を含めて、ロシア語の参考書を盲信するのではなくて、自ら実際のロシア語の文で(会話では細かい格変化などは全てを聞きとるのは不可能だと思うので)検証する必要がある。自分で納得することが、体の奥義を究める早道だし、そのためにはこれはという例文をエクセルなどに集めておけば、将来役に立つだろう。
出題)「我がエコファームで(これから)起こることはすべて(その都度)お知らせいたします」をロシア語にせよ。
Всё, что дальше будет
происходить на
нашей экологической
ферме будет
опубликовано
в каждый раз.
---------------------------
「その都度」のв каждый разはкаждый разの誤りです。всякий разの方がよいように思います。опубликоватьは刊行物(雑誌を含む)で発表するということであり、「知らせる」というのは、手段を特定せず、電話でも、メールでも、文書でもという意味ですから違います。出題は未来における反復ですが、被動形動詞過去短語尾を使って、何回もと使える場合がありますが、それは動作の一括化であって、普通は、反復の用法とはなじみません。不完了体の動詞を使うべきです。
(トマス・ムーアの「夕べの鐘」(という詩)は何度も曲がつけられた)Вечерний звон Томаса Мура неоднократно было положено на музыку.
一番問題なのは、お答えでは、всёの時制(未来)と、主文の動詞の未来と、同じ時制なのか、どちらが未来なのかはっきりしません。意味上は主文がより遠い未来を示すと考えられますが、出題は未来の反復とはいえ、動作は未来において同時のはずです。私の答えは、Мы будем сообщать вам обо всём, что происходит у нас на экоферме! <内容が不定、未来の反復なので不完了体未来形を用いる。従属文の時制は主文と同時である。
Мы будем сообщать вам обо всём, что происходит на нашей эко-ферме.
-------------------------------
これはすごい。正解です。
Мы будем сообщать вас обо всём, что произойдёт в нашей экологической ферме.
------------------------------------
いい線を言っています。сообщать + 与格で、информировать (извещать/известить) + 対格です。
その都度知らせるというのですから、従属節も繰り返しです。それとфермаはнаです。в/наの使い分けは難しいものですが、一応вは室内を、наは広々としたところを想像できるものはнаがつくと考えたほうがよいでしょう。заводもピョートル1世時代は、ウラルの広々としたところで行われたからという説もあります。ただ19世紀の文献を読むと、同じ作家でもв заводеとна заводеが入り混じって出てくる場合もありますから、それほど気にしなかったのかもしれません。
Натурщиц тогда и в заводе не было.(当時モデルなど聞いたこともなかった)という熟語表現はвであり、種馬牧場конный заводという意味ならв/наのどちらでもよいようです。「養魚場で」ならна рыбоводном заводе (рыбоводческой ферме)です。
(お題)
我がエコファームで(これから)起こることはすべて(その都度)お知らせいたします
(コーシカ訳)
Мы сообщим Вам все, что произойдет в нашем экоферме.
体でだいぶ悩みました。
不定の事柄が相手ですが、何かあれば都度お知らせします、という構文ですから
完了体未来形による条件法が最適ではないかと考えました。
さて、正解は
なるほど、不定、反復の未来なのでやはり不完了体が来るのですね。
сообщатьはо ком-чемが必要なのも見落としておりました。