2013年06月14日
●続和文解釈入門第122回
ソ連科学アカデミー版ロシア文法Русская грамматика, Наука, 1980の第2巻356ページにある不定人称文のところに、主体の定義として、Специфика субъекта здесь состоит в том , что это или «вообще всякий, любой», или «кто-то (некто), или «некоторые».(ここにおける主体の特質は、それが「各人全般、どの人でも全般に」、ないしは「だれか」、ないしは「ある人々」であるということにある)とある。всякий, всякая, всякиеは単独で各人(男、女、複数の人)という意味で、当然ながら人でвсякоеというのはないし、「どんなものでも」という意味では、ものを意味する中性名詞が必要である。любойもлюбой, любая, любыеも単独で「どの(男、女、複数)人でも」という意味があり、любоеは単独で「どれでも」という意味になる。これから判断して、主体は人を指していることが明らかである。
каждый, любой, всякийはシノニムだが、каждыйは例外なく、削除なしで、それぞれすべてというニュアンスであり、複数を用いるのはその語義が単数の語義である複数の名詞や数量名詞のみで例外的。любойはкакое угодно(どれでも)という、えり好みせずというニュアンスで抽象的な名詞との結びつきが多い、複数の名詞とは制約がない。всякийはкаждыйに近いが、使用例は少ない。この3つは名詞としても使用される。
出題)「このようなカプロラクタム生成と御社の技術の違いは何ですか?」
「触媒としてホウ素化合物を用いていることです」をロシア語にせよ。
В чем заключается
разница между таким
образованием
капролактама и
технологией вашей
компании ?
Это объясняется тем,
что мы употребляем
борные соединения
в качестве
катализатора.
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惜しい。前にも書いたと思いますが、употреблятьは「使う」という意味では、「語句を使う」のように言語関係で使うのを除けば廃用です。確かに19世紀には技術関係のみならず広く「使う」という意味で使われましたが、現在では、「使う、用いる」はприменять/применить, использоватьを使います。化学用語ではобразованиеは形成であって、生成ではありません。私の答えは、- Чем отличается такое получение капролактама от технологии фирмы?
- Тем, что здесь в качестве катализатора применяются соединения бора
カプロラクタムというのはナイロンの原料である。この他にも、技術通訳で使える表現として、В чём отличие приобретения права на использование изобретения от ноу-хау?(発明の使用権取得とノウハウの違いは何ですか?)
В чём разница между моделями ОВЕР и ОВЕС?(モデルのOVERとOVESとの違いは何ですか?)
- Что отличает технику вашей компании от такого получения капролактама ?
- Это то, что мы используем борное соединение в качестве катализатора.
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語彙は正しいのですが、構文がよくありません。чтоが主語だと、人でなく、ものが動作主として、区別するという動作を行うことになって、それこそ不自然です。техникаは技術ですが、技術一般ということであり、技術用語では、機材という意味もあり、個々の具体的な技術という意味では、технологияを使います。拙著『るいごプラス!』にも同様な説明があります。プーチンさんのところに3つ構文がありますが、いずれも技術通訳やビジネスの通訳で多用されるものばかりです。
- В чём отличие таких способов производства капролактама от Вашей технологии?
- Мы применяем соединения бора как катализаторы.
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惜しい。производствоは製造であって、生成ではありません。会話で通訳する際は、特に問題にはならないと思いますが。
(お題)
このようなカプロラクタム生成と御社の技術の違いは何ですか
触媒としてホウ素化合物を用いている事です
(コーシカ訳)
- Как Ваша технология отличается от (такого рода) образования капролактамов?
- В использовании борного соединения в качестве катализатора.
化学工場での見学や技術商談からの一場面ですね。
最初の文の動詞は不完了体でものの状態を尋ねています。
カプロラクタムは何種類もあるかもしれないので複数にしております
(ある特定の1種の生成の話かもしれませんけれども)。
答える文は繰り返しを避けるため(Отличие состоит)が文頭に隠れていると考え、
こちらの動詞も質問の文と同様に技術の強みの所在、性質を指すため、
不完了体が適しています。
ホウ素化合物は何でもよいはずはないので、ある特定の(でもヒミツ)という含みで単数、
触媒は、触媒という分類のうちの一つと考えてこちらも単数です。
「…として」はкакだけでも通じると思います。
その場合、触媒という語は修飾先のсоединенияに合わせて生格を取ることになります。
さて、正解は
какではなくчемで尋ねるのですか~
生成もобразованиеではなくполучениеなのですね。
ということは英語も別な語を充ててそう…
理化学辞典大活躍の回でございます。
生成はsynthesis、ситезでええかな…と思いきや
こちらは合成(元素をくっつけて化合物をつくること)で別な現象なのですね。
カプロラクタムというものを調べてみると(ナイロンの原料などになるようです)
化合物を他の化合物を使いつつ別な化合物へと変えてゆく過程、のようでしたので
生成となるのですね。