2013年05月17日
●続和文解釈入門 第96回
アオリスト的用法の説明をしていて思うのは、ひょっとしたら、過去を示す語句があれば、みな完了体過去形を使うのだと、学習者が勘違いしはしないかという事である。アオリスト的用法というのは、動作が過去の一点のみに行われるという事を意識する場合である。当然のことながら、状態の動詞は、過去も、現在も、未来も、動作が一点だけに止まらない。ゆえにказатьсяのような状態の動詞は、вчераのような過去を示す語句とともにも使われる。ただ状態の動詞(3-1-6項)や過去の過程を示す動詞(2-1-4項)は過去の一点、ないしはそれを含む動作を示す事ができる。しかし、その過去の一点というのは連続する動作の一部であり、それがアオリスト的用法との違いである。和文露訳入門』7-3項参照。この動詞については次回に詳しく書く。
出題)「もう一歩のところで、ブルガリア大公におなりになれたのに」をロシア語にせよ。
Вы чуть не смогли занять место Великого князя Болгарии.
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чуть не = почти чтоということで、「~するも同然」という意味で、これ自体に仮定法過去の意味はありません。しかも、смоглиですから、文脈にもよりますが、結果の存続と考えるのが普通です。ですから「大公の地位を狙えるところまで来ている」と訳せます。しかし、これを、開始された動作の中止や非実現を示すбылоを使って、чуть было неにすれば、正解の可能性が高くなると言えます。例えば、
Чуть было не я умер.(もう少しで死ぬところだった)
Чуть было не опоздал на поезд.(危うく汽車に送れるところだった)
この他にもОднажды мы едва не утонул в какой-то трясине.(あるときある湿地で我々は危うく溺れるところだった)
私の答えは、Немного ещё, и вы были бы болгарским князем.
仮定法過去の用法。
вы чуть не стали великим князем Болгарии.
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ブーチャンさんと同じですね。
(お題)
もう一歩の所でブルガリア大公におなりになれたのに
(コーシカ訳)
1) Вы чуть не стали великим князем Болгарии.
2) Вы были один шаг до великого князя Болгарии.
чуть неと「あと一歩」で考えてみました。
1)は何度もブルガリア大公になることはないだろうと考え、1回性の動作で完了体、
それを否定する形と考えます。
2)はあと一歩の所にいたという状態を指します。
さて、正解は
仮定法過去を取るのですか。言われてみれば確かに。
開始された動作の中断や非実現を指すбыло…