2013年04月17日
●続和文解釈入門 第66回
箱根、日光、富士などの観光をしていると、火山が噴火したとロシア語で説明することが多い。例えば、「3千年前にその火山は噴火した」なら、Вулкан извергался три тысячи лет.となり、3千年前という過去の一点を示しているのにもかかわらず、不完了体過去形が来ている。アオリスト的用法である完了体過去形は使えないのだろうか?どうしてだろう?これは噴火というのが、瞬間的な出来事ではなく、ある一定の期間続くことから不完了体が使われるのではないかと思われる。体の用法も語義が大いに関係してくるという例である。
出題)「僕は紅茶だ」をロシア語にせよ。
Мне чай, пожалуйста.
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正解です。動詞が省略されているとすると、注文を聞かれた後という風に考えれば、ПодавайтеとかНесите (приноситеは繰り返しの意味しかないので使えない)というような、不完了体の命令形が来て、着手の意味を示すのだと思います。Дайтеと完了体命令形を持ってくると、カフェーに入って、ウェーターを呼んで、いきなり注文した(新規の動作)ということになります。私の答えは、Я буду чай.
пить(飲む)が省略されている。「僕はサンドイッチだ」ならЯ буду бутерброд.でесть(食べる)が省略されていることになる。マリーニナМарининаの警察小説Смерть и немного любви(死とほんの少しの愛)に用例がある。Мне чай, пожалуйста.でもよい。ウナギ文の復習。『和文露訳入門』の9-10参照。
Я возьму чай.
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ここで完了体を使うというのは問題だと思います。「僕は紅茶だ」というのは、注文を聞かれてのことでしょうから、ある文脈(雰囲気)に合わせてですから、不完了体を使うべきです。Я беру чай.(形式的には不完了体現在形の予定の用法で、近接未来を示す)とすれば、正解に近いと思いますが、カクテルパーティーなどで、ウェーター持ってきたお盆の中から「取る」という動作なので、持ってきてもらうという動作とは違うと思います。買い物をするときに、Беру.(それをもらいます、それを買います)というのは、店員から勧められたときとか、その商品を手にとってみたりして、話し手からみて買うのが当然という時に使いますが、Я возьму.というと、脈略なしに、いきなり買う(新規の動作が始まる)という感じになり、これが体の用法の本質です。同じ状況で使えるからといって、意味が同じであっても、ニュアンスも同じというわけであはありません。この違いが分かれば、体の奥義を理解したことになります。
みんながコーヒーを頼んで、私だけ紅茶をというなら、完了体が来るのかというと、機内サービスを見ても分かるように、コーヒーか紅茶を選ぶというのは、客を接待する上で、現代ではどちらか勧めるのか常識の範囲だと思います。これが、「僕はテキーラだ」といったら、メキシコの夜の集まりを除けば、日本やロシアで会議の前にこういう発話があれば、それは完了体が来るだろうとは思います。
Мне чая, пожалуйста.
Мне хотелось бы чая.
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共に正解ですが、共に文法的にはчаю (会話では指少形のчайкуの方が多い)と部分性格にする方が自然です。хотеться = хотеть использовать объект, съесть или выпить(ものを利用したい、食べたい、ないしは飲みたい)となり、具象名詞は対格か部分生格となる。補語が抽象名詞なら生格を取ります。『和文露訳入門』8-6参照。
ただ会話なのではДва чая, пожалуйста(紅茶二つお願いします).とかМне чай, пожалуйста.(紅茶を1杯お願いします)とa cup of teaの意味で使いますから、あまり文法にこだわる必要はないかもしれません。
(お題)
僕は紅茶だ
(コーシカ訳)
Я буду пить чай.
意向を表すбыть+不完了体による未来です。
飲みもののひとつとしてのお茶の場合は部分生格を取らず、対格でよいようですね。
総称として捉えているからでしょうか。
さて、正解は
うなぎ文?目的語だけで動詞を特に必要としない言い方でしょうか。
確かに友達のところでお茶を出してくれるときも
Будешь чай или кофе?と訊いてくれました。
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正解です。