2013年04月11日
●続和文解釈入門 第60回
体の用法の使い分けにおいて完了体が意識的であるという事は前に述べた。未来の時制においてこれを当てはめてみよう。完了体は意識的ということにから、アオリスト的用法のように、過去の時制において完了体は過去の明確な一点で行われた動作を扱う。それに対比して考えれば、完了体未来形というのは、同じく意識的という事で、動作を行う未来の一点を目指すと言える。その際その動作が具体的に明示されるかどうかは問題ではない。一方不完了体未来形は未来における動作の有無を示す事に主体があり、いつ動作が行われるかは二の次ということになる。これによって未来における時を示す具体的な語句があれば、完了体未来形を使うのが自然だという事が分かる。不完了体現在形の予定の用法は、現在を近接未来まで拡大解釈した用法であり、そういう意味では未来を示す具体的な語句と共に使われる例外と言えなくもない。
上記により、『和文露訳入門』の4-1-1-5を下記のように補足した。
出だしの「明日モスクワに立ちます」という文を露訳すれば、新しい事態や情報が出てきたわけであるから、Завтра я поеду в Москву. と完了体未来形を使うのが普通である。Завтра я еду в Москву. と不完了体現在形の予定の用法を用いると、モスクワ行きを前から予定していたということになる。あまり言わないが、不完了体未来形を使ってみよう。ただし、завтраという時間の副詞があると、4-2-1項でも述べるが、未来における時を示す具体的な語句があれば、完了体未来形を使うのが自然だという事だということと、出発するという動詞に文の焦点が行き、これでは完了体未来形の領域なってしまうので、これを外して文を作ると、Я буду ехать в Москву. となり、「(飛行機ではなく)車や電車でモスクワに行く」というニュアンスになる。
出題)「彼らはあわてず騒がず、冷静な頭で決定を下す」をロシア語にせよ。
Не второпях и не
шумея, они спокойно
принимают решение.
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шуметьというのは「騒ぎ立てる、ワイワイガヤガヤする」ということですから、どうかなという気がします。私の答えは、Они принимают решения без спешки и на холодную голову.
Они не растеряются, не шумят, и принимают решение с трезвой головой.
いつもそうだということでнесов。
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не шумятは不要だと思います。
(お題)
彼らはあわてず騒がず、冷静な頭で決定を下す
(コーシカ訳)
1) Они принимают решения со здравым умом, и не пугают или не волнуют.
2) Они, не ни в испуге ни в волнении, а со здравой мыслью принимают решения.
3) Они, без испуга и волнения, со здравой мыслью принимают решения.
恒常的な能力ないし状態を指すために不完了体が適すると考えます。
さて、正解は
спешкиという1語で表せるのですね、知りませんでした。
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1)のпугаютもволнуют「驚かす」、「興奮させる」という意味の他動詞ですから、сяをつけて自動詞にする必要があります。