2013年03月24日

●俗和文解釈入門 第44回

前回の続き。この短編の後に書かれているのは、実録もので、6歳になる前妻の連れ子を妊娠中の若妻が窓から放り投げた事件である。この女の子には幸い怪我もなかったのだが、なぜかその若妻は自首して、シベリア送りの判決を得た。黙っていれば分からなかったはずにもかかわらずである。ドストエフスキーは妊娠中の一時的錯乱аффектであり、無罪にすべきだと主張している。死刑の直前で執行中止となった自身の経験を踏まえ、前回の短編よりもこの実録もののほうがドストエフスキーの人間性がよく出ているように思える。

出題)相手への電話中に発せられた言葉「私はそのことで電話したのではない」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年03月24日 09:01
コメント

(お題)
(相手への電話中に発せられた言葉)私はその事で電話したのではない
(コーシカ訳)
Я звоню тебе не об этом.

現在進行中の事柄を指す不完了体現在です。
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体は不完了体で正解です。звонитьはо + 前置格とはあまり相性がよいとは言えません。普通は「~に関して、~の件で」というときには、別に「伝える」という意味の動詞を追加するのが普通のようです。私の答えは、Я звоню не за этим.
「電話しているのはその件ではない(別件である)」と過程の意味でとらえることも可能だが、その件でないことが発話の終了と同時に相手に伝わるので、遂行動詞ではないかと思われる。звонитьは遂行動詞で使われることは、あまりないが、これは例外だと思われる。

Posted by コーシカ at 2013年03月24日 19:39

Я не по этому звоню.
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体の用法は正解です。поはпо (этому) телефону(この電話で)という語結合が強いという面もあります。по этому поводуとか на этот счётとした方が、誤解が少ないように思います。

Posted by ブーチャン at 2013年03月24日 21:55

Я звоню вас не по этому делу.
姫路でレーピン展を見て来ました。
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惜しい。вамです。凡ミスでしょう。レーピンはモスクワの美術館(トレチャコフでしょう)で何度か見た記憶があります。レーピンには自伝Далёкое близкоеがあり、自分の書いた絵の背景なども描かれており、こちらも面白い本です。ロシアやソ連の近代や現代の実際を知るには、無名有名を問わず、色々な人の自伝を読むべきだと昔から考えておりました。ソ連崩壊後、検閲がほぼなくなったようで、堰を切ったように自伝が出版され始めました。自伝は主観ですから、自分を偽善的、偽悪的に描かれているということを割り引いても、ロシアやソ連が実際はどうだったのかということがよく分かります。小説は文学作品ですから、芸術のための誇張も入っていますが、自伝の場合はそれも少なめなのではないかと自分なりに思っています。今読んでいるのは、Олешаという作家のНи дня без строчкиという自伝です。何か気に云ったロシア人の自伝を一冊ぐらいは読むことを勧めます。同時代(19世紀、20世紀)の日本人はどうだったのかを知るために、平行して日本人の自伝もかなり読みました。

Posted by ゴ at 2013年03月24日 23:54
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