2013年03月20日
●続和文解釈入門 第40回
観光ガイドをしていると、日本のホテルの電圧は100Vであり、周波数は東京が50ヘルツГц (герц)なのに対して、関西は60ヘルツだと教える必要がある。こんな小さな島国で周波数が二つあること自体が驚きだが、一応ロシア人に説明する必要があるので、ご参考までになぜそうなったのかを書いておく。事の起こりは関西では大阪電燈、関東では東京電燈という大手2社が電気事業の覇権を争ったことにある。大阪電燈は初めから交流ということで、1888年にアメリカのGE社の交流発電機を設置した。この周波数が60ヘルツだったわけである。一方東京電燈(後の東京電力)の方は、初めは、つまり1887年から直流でやっていたが、交流の良さを認め、1896年に東京の中央発電所である浅草発電所に200KWのドイツ製AEGの交流発電機を設置した。ドイツ製は50ヘルツであり、これが現在に至るまで尾を引いて、糸魚川静岡構造線に沿った形で周波数が分断されているわけである。基本的に北海道電力、東北電力、東京電力は50ヘルツであり、それ以外の電力会社は60ヘルツである。
出題)「お前、いつからそんなに執念深くなったのだ?」をロシア語にせよ。
С каких пор ты стал
так злопамятливым?
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惜しい。злопамятнымのスペルミスです。私の答えは、С каких пор ты стал таким злопамятным?
この答えは、С тех момента, как этот человек возник на моём пути.(この人が俺の前に現れてからだよ)などとなる。
Когда ты стал таким настойчивым человеком?
はっ、頑張ります。
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настойчивый = упорный, решительный в достижении чего-либоですから、特に悪い意味はないとい思います。когдаは「いつ」ですから、過去の一点を示し、文脈によっては、結果の現存を示さない、アオリスト的用法とも解釈できます。с каких порとすれば、完了体過去形とともに今に至るまでという意味を表現できます。
好みによりますが、会話の多い探偵小説などをロシア語で読んでみるとよいと思います。Малининаなどは評判もよく、一度モスクワ駐在の時に恩師に頼まれて買って送ったことがあります。私はまだ読んでいないのですが、似たような警察小説は何冊か読みましたので、筋はともかく、会話の部分は生き生きとしたロシア語です。ただ口語用の辞書が必要でしょうが。
Спасибо вам за
комментарий.
На мой взгляд,
существует то и
другое слово:
злопамятный и
злопамятливый.
Поясните,пожалуйста
в чем разница между
этими двумя словами.
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злопамятливыйがないと申し上げたのは、最新版のアカデミー版に載っていないからです。ネットで見てみると900例ほど載っており、Ушаковのтолковый словарь(1935年、1940年版)に口語、廃語とあります。個人的な意見ですが、ネットでの例も少なく(使うためには最低数万例位は必要でしょう)、ウシャコーフは今から80年前の辞典であり、そこで口語と書かれていても、アカデミー版の最新の辞書(2006年版)にない以上、現代の会話やレターでは使うべきではないと思います。ただ単語を使うかどうかは個人の好みであり、その人が決めるべきだと思いますが、要はロシア人に話者のニュアンスで通じればよいかと思います。
Спасибо вам за
объяснение.
(お題)
お前、いつからそんなに執念深くなったのだ
(コーシカ訳)
(1)Есть ли у тебя такая назойливость?
(2)Как давно у тебя такая назойливость?
状態ですので不完了体現在ないし動詞なしでの表現になると思われます。
(1)は「お前、そんなに執念深かったか?」という感じで設問とはちょっとずれる気がします。
(2)のようには言わない気がしますが、
ある時を境に一転して執念深くなるという事もないだろうと考え、完了体は使っておりません。
「執念深い」に当たる語はнеотвязныйなど幾らかありましたが
人との相性の良さそうなназойливыйを使いました。
настойчивыйは長所としても使われそうなので外しました。
さて、正解は
злопамятныйで「執念深い」。
物覚えが悪い、と考えてしまいそうですが、こんな意味なんですね:
悪い事を(いつまでも)記憶しているという感じでしょうか。
с каких порで「いつから」は知りませんでした。
早速使ってみます:
(おばあちゃん同士の会話)
- Ой! С каких пор ты так хорошо разобралась с компьютером?
- С тех пор, как внучка приехала ко мне в последнюю субботу и меня обучила ему.
- おやまぁ、お前さんいつからそんなにコンピュータに詳しくなったんだい
- こないだの土曜に孫がうちに来てね、教えてくれたんだよ
>с каких порとすれば
>完了体過去形とともに今に至るまでという意味を表現できます。
過去のある時から今に至る迄、ということで結果の現存ですね。
不完了体現在とも結びつきそうに思いますが、やはりそういう使い方はないのでしょうか。
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出題は「~なった」とあるのですから、状態ではなく結果の現存(存続)です。ご自分でお作りになった対話ですが、разбираться в + 前置格であり、в поледнюю субботуという言い方は間違いではないでしょうが、こうは言わないでしょう。в прошлую субботуとするか、何もつけないのが自然です。年寄りがこのような短期間でコンピューターをマスターできるという設定自体がSF的であるように思えます。
過去から現在に至る状態を示すのは不完了体現在形で、『和文露訳入門』3-1-3項を参照ください。用いられる動詞は状態の動詞であり、出題に合うような語義の状態の動詞は知りません。