2013年03月18日

●続和文解釈入門 第38回

現在の時制では結果の現存以外は完了体を使えないと考えると、日本語の動詞の現在形は不完了体現在形を使えばよいという考え方もできる。後は歴史的現在とかテイル形の例外(「彼はここに来ている」は文脈によって、彼は今ここにいるという意味にも、ここに来たことがあるという意味にも取れる。後者なら1度だけなら完了体過去形のアオリスト的用法を、何回もというなら不完了体過去形を使う事になる)だけを別にしておけばよいということになる。

 遂行動詞はどうすればよいのだろう?「~をお知らせします」は、遂行動詞としてなら、「明日朝10時に会議をすることをお知らせします」はСообщаем, что завтра в 10 утра будет собрание.と不完了体現在形となるし、「今明日の会議についてお知らせします」Я сейчас сообщу об собрании завтра.なら完了体未来形になる。日本語の動詞は非過去の場合、現在の時制と未来の時制を動詞の形の上では区別しないので、露訳の際、文脈によってはすぐに遂行動詞との区別がつきにくいということもある。遂行動詞というのは発話行為自体が動作であり、発話と共に動作が始まり、発話の終了と共に動作が終わるが、その動作の結果は残る、ある意味、始まりと終わりのある過程の用法と言えなくもない。遂行動詞は不完了体である以上、場依存型であり、その場の話の流れに沿って動作が行われるのだという事が言える。完了体未来形では、動作の内容はこの発話だけでは分からない、つまりこの後(直後の可能性もある)である未来にその内容が伝達されることになる。

 露和辞典にも遂行動詞が使えるのかどうかの区別もないし、用例もあまりない。当時の辞書の編集者に遂行動詞という観念があったのかどうかも疑わしい。またすべての不完了体に遂行動詞の用例があるとも思えない。結果現存兼評価型動詞であれば遂行動詞ではない。多回体も遂行動詞ではないし、状態の動詞も遂行動詞ではないであろう。過程を示す動詞も遂行動詞ではない。遂行動詞というのは発話行為自体が動作であり、発話と共に動作が始まり、発話の終了と共に動作が終わるが、その動作の結果は残る、ある意味、始まりと終わりのある過程の用法と言えなくもない。露和辞典においても不完了体は動詞(動詞群)によってこれらの用法を識別する必要があると思われる。露文和訳や露文解釈は文脈により、ある程度感覚でできるが、和文露訳は辞書にそういう識別がないとロシア語の動詞を使いこなせないという事になる。

出題)「どなたにご用ですか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2013年03月18日 08:05
コメント

Кто вам нужен ?
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これは文字通り「あなたにはだれが必要ですか?」という、やや抽象的な意味に使うのが普通です。私の答えは、Кого вам нужно?
省略したВам кого? でもよいし、К кому прибыли? でもよい。
Кто вам нужен?だと Кто вам нужен, чтобы помочь вам?(助けてもらうためにどんな人が必要か?)ということで、「必要ですか?」という文字通りの意味になる。同様にКто нужен России?(ロシアにはだれが必要か?)というように、нужен/нужна/нужно/нужныは名詞に合わせて主格が来るが、нужноは補語に対格が来てもよい。これはжаль (жалко) + 対格と同様のケースである。

Posted by ブーチャン at 2013年03月18日 09:10

К кому у вас дело?
Кого вам нужно?
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最初の文は語結合的に問題ないと思いますが、聞いたことはありません。二つ目の文は正解です。

Posted by ゴ at 2013年03月18日 22:47

(お題)
どなたに御用ですか
(コーシカ訳)
(1) С кем Вы обещали?
(2) Кого Вы спрашиваете?

(1)は実際に会社を訪問して受付でアポイントの有無を尋ねられるといった場面で
обещатьは完了体過去による結果の現存と考えます
(обещаниеにアポイントの意味があったと思うのですが辞書から跡付けできません…)。
(2)は電話口での質問という想定で、不完了体現在による現在の状態です。
さて、正解は
ありゃ、全然違う。
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(1) общание, обещатьに面談するとか、アポイントという意味はありません。
(2) ロシア語自体は正しいのですが、説明が誤解を招きます。これは遂行動詞です。つまり発話が終了して、その結果が残っているわけです。状態と書くと状態の動詞と紛らわしいと思います。状態の動詞であれば、その動作の状態が電話の前から続いているという不可思議な現象に思えます。芝生に寝ているとか、座っているというのが状態の動詞です。

Posted by コーシカ at 2013年03月23日 22:07
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