2013年01月08日
●和文解釈入門 第599回
このコーナーで皆さんに伝えたかったことは、和文露訳には語彙を出来るだけ覚えろということではなく、文法を学び、文脈に応じて単数複数の使い分けや、どの体を使うのかを感じ取る能力を磨いてほしいということにある。教師が生徒との面談で、中間テストや期末テストの成績も悪い、遅刻も多いし、欠席も目立つと話していて、「(五段階評価で)2〔不合格点〕をつけるからな。恥かしいと思え〔恥を知れ〕」と言ったとして、それを露訳するとしたら、「2」とか「つける」という語彙が分からなくても、話しの流れに沿ってのことだから動詞は二つとも不完了体が来るという事を感じ取れなければいけない。Ставлю тебе два (двойку). И стыдись.これを、先生が「しかしだ、3〔合格点〕をつける」となれば、話しの流れが変わる(流れと異なる)わけだから、完了体未来形が出てくることになる。
単語集や語彙集の暗記に明けくれることは悪いことだとは思わないし、必要でもあるが、肝心の動詞の使い方が分からずに、単語だけを覚えても、実戦では使えないから宝の持ち腐れだろう。先に体の用法を覚えるべきなのに、頭の使わない丸暗記に走ろうとするのは、あるいはそのような指導をするのは、勉強の順序を間違えているのだと言わざるを得ない。丸暗記などまともな二十歳を過ぎんとする、あるいは超えた大人のすることではない。だから飽きが来て勉強が続かないのだ。ロシア語に興味を持たせるには、話せるロシア語を使える例文を基に、なぜそうなるか、分かるように納得づくで教えることにある。そのあとで一般常識の分野や自分の必要とする分野の語彙を一人で暗記すればよい。
体の用法の本質はそれほど難しくはないとはいえ、実際に和文露訳するときには大いに迷う。そこで、このコーナーのような練習の場を設け、短文とはいえ実戦的な形式にした次第である。ここで自分の間違いに気づけば、実戦は恐れるに足りない。実際に通訳しなければならない言葉が、全て難しいというものではないし、文脈で分かるものも多いからだ。このコーナーでは600近く例文を紹介しているが、応用性のきくものばかりだと自負しているので、これをランダムに100ぐらい覚えてもかなり実力になるのではないかと思う。残念なのは自分自身でそうだと言えないことである。自分がロシア語を習得した勉強法は語彙や短文の丸暗記と文法精読を併せたもので、このコーナーのやり方ではないからだ。初級の段階から、和文露訳入門で成果を上げる学習者が出て初めて、このやり方は効果があると実証できるのだが、そういう贅沢は言わずとも、だれかがなにがしか勉強に役立ったと思うだけでもこのコーナーをやった甲斐はある。
設問)「知識のレベルでは、お分かりのように、我国はあなたたちのはるか先を行っている」をロシア語にせよ。
В отношении уровня
знаний, как вам
известно, наша страна идет гораздо
дальше вас.
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正解です。過程ではなく結果の現存の意味の用法も可能です。私の答えは、По уровню знаний мы, как ты понял, намного опередил вас.
設問は現在完了(結果の現存)を示している。ゆえにобогналとしてもよい。
По уровню знаний, как вы знаете, наша страна идет далеко впереди вас.
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正解です。
Как вам известно, мы идем довольно впереди вас в интеллектуальной степени.
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知的レベルと知識では違うように思います。
Как Вам известно, по уровню знаний наша страна идёт намного впереди вашей.
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正解です。
По уровню знаний наша страна, как видите, идет далеко впереди вас.
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正解です。