2012年12月17日

●和文解釈入門 第577回

前回の回答にピリオドの代わりに疑問符をつけた方がよいというのを朝のコメントで入れ忘れた。今後のこともあろうと思うので、1、2日してもう一度私のコメントをチェックしてほしい。朝の1回だけでは私の勘違いという事も大いにありうる。間違いはその都度訂正しているので、その点ご理解願う。
12月15日の教育テレビの地球ドラマチックという番組で、「ピダハン 謎の言語を探る アマゾンの民」というの見た。ピダハン語には数、色、左右の概念がなく、時制も現在だけであり、口笛で文が作れるという。一番問題なのは、チョムスキーが唱えた普遍文法の根幹を成す再帰構造recursionがないということである。再帰構造というのは、文を無限に拡張してゆく方法で、「~ということは~であるとAが言っているのをBが聞いたとCが述べている」という類で、ピダハン語にはandやorもないという。ピダハンを紹介したダニエル・エヴェレットは元宣教師で家族と共に30年以上ピダハンと暮らし、外国人でピダハン語を話せるのは彼の元妻を入れて3人だけであるという。ピダハン族は400人余りで、ダニエルは彼らと暮らすうちに、宣教というのは押しつけであり、ピダハンは今のままで十分幸福であるということから、逆に感化を受け、無神論者となり、そのため家族とも別れざるを得なくなったという。チョムスキーはインタビューの中で普遍文法は人間の遺伝子に刻まれているのだとまで言い切っているので、ダニエルの説には非常に不愉快に思っているようだった。マサチューセッツ工科大学では既存のピダハン語の会話の音声テープから、既存のテープをコンピューターで解析した限り、ピダハン語には再帰構造はないと結論付けている。

 人類はアフリカの大地溝帯で生まれ、そこから世界に拡散していった。言葉の話せない人類が各地でそれぞれの言語を形成してゆき、人類の各部族が戦争や交易などで接触するに従い、数や色などの有利な要素を取り入れていき、ピダハン語のように、そうでない言語は消滅して行ったと考える方が自然ではなかろうか。4人の言語学者がダニエルのピダハン入りをさせないようにブラジル政府に手紙を書いた結果、ダニエルとピダハン語を研究しようとするマサチューセッツ工科大学のメンバーが現地入りできなくなったというのは、現代における魔女狩りのようなものである。結果がどうであれ、研究の機会は何人といえど奪われるべきではない。ブラジル政府は世界的な言語学論争に巻き込まれるのを嫌ったという事らしい。ピダハンにはブラジル政府の援助で、電気やテレビも入り、学校もでき、子供達にはポルトガル語が教えられている。これは結構なことだが、言語という観点から見ると、子供達には数や色の概念が入って来るわけで、ピダハン語の将来は暗いと言わざるを得ない。ダニエルには「ピダハン 言語本能を越える文化と世界観」(みずず書房、2012年)があるというので、いずれ読んでみようと思う。

設問)「このような犯罪者とどう向き合えばよいのか?」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年12月17日 08:48
コメント

Как следует стать
лицом к лицу с такого
рода преступниками ?
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лицом к лицу = в непосредственно близости, очень близко с кем-либоということで、人の間近にいるということです。「直面して」という意味であれば、лицом к лицу с опасностью (необходимостью, фактами, со смертью) 危険(必要、事実、死)に直面してと、抽象名詞と結び付く必要がありますから、お答えは違うと思います。私の答えは、Как следует поступить с таким преступником?
поступить/посутпать = действовать, относиться, сделать по отношению к кому-чему-либоなので、「対応する、あたる」などの訳が考えられる。

Posted by ブーチャン at 2012年12月17日 09:42

Как должен относиться к такому преступнику?

設問は一般論(当該の犯罪者との接し方ではない)とし、不完了体にしましたが、その犯罪者担当弁護士なら、具体的なので完了体отнестисьでしょうか?それとも、その場合も向き合うのは多分複数回なので不完了体でしょうか?
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設問は「このような犯罪者(であるその人)」と解釈できますから、私は具体的な1回行為として完了体不定形を使うべきだと思います。しかし、このような犯罪者一般(繰り返し)に対してと解釈すれば、不完了体不定形も来ることはあり得ます。しかし、前にも書きましたが、不定法で不完了体というのは、繰り返しであるか、研究するなどの時間の長さを動作に含意する動詞、否定文、後は動作の名指し(要はидти, делатьなどの不完了体の使用が圧倒的に多い動詞)ぐらいですからということと、具体性を強調する例示的な意味で、文体が生き生きするなどの理由で、完了体を使うほうが多いように思います。
 体の使い分けは、話し手の意識の表れですから、話し手が決めることで、この場合は設問の回答者が、どういう意識を持つかにかかっています。「このような」をどう理解するかによると思います。
 お答えでдолженを使っていますが、これだとя、つまり男性である私の省略であると理解されます。そうなると、かなり具体性が増えることになりませんか?долженはмочьなどと同様、叙想語(話し手の主観を示す)なので、完了体不定型が来るのが普通です。不完了体不定形が来るとしたら、切迫、反復、否定(不必要)などです。こういう場合は、設問に主語がなければ、無人称文を用いるべきです。следует, необходимоが一般的ですが、должно(力点はдо)という語もあります。
относитьсяで正解ですが、обращаться к кому-либо, куда-либо с вопросом, просьбойとか、высказывать мнение, отзывться о ком-либо, чём-либоという意味では、廃語ですが、проявлять тот или иной характер обращение с кем-, с чем-либоでは現在も使われるので、問題ないと思います。

Posted by hatomame at 2012年12月17日 17:45

Как относиться к такому преступнику?
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正解ですが、個人的には完了体だと思います。露露辞典を見る限り、отнестисьには、向き合う態度(控え目にとか、愛情を持って)ということだけで、実際に何をすべきか(対処すべきか)というのが含意されていないので、設問用としては何か弱い感じがします。

Posted by メイ at 2012年12月17日 21:34

Как понять такого преступника?
ミスしないよう頑張ります。
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体の用法はその通りですが、「このような犯罪者をどう理解すべきか」というお答えは、設問とは違います。
 ミスについてですが、ここは資格試験でも入学試験でもありませんから、肩ひじ張らずに、これなら大丈夫という答えと、これでも大丈夫なのかと思うような文を回答なされば、ご本人のためにも、私のためにもなります。気楽にご投稿願います。

Posted by ゴ at 2012年12月17日 22:54

Как относиться к такому преступнику?
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メイさんと同じですね。正解としてもいいのですが、弱い感じがしますし、個人的には完了体を使うべきだと思います。理由は他の投稿者の皆さんのところに書きましたので省きます。

Posted by コーリャ at 2012年12月17日 23:33

ありがとうございます。たしかに無人称文を使うべきでした。主語がないときは、男性か女性かわからないので取りあえず男性形にしておけばよいような気がしていました。気をつけたいと思います。
その他のご説明もよくわかりました。

Posted by hatomame at 2012年12月18日 16:20
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