2012年12月13日
●和文解釈入門 第573回
語用論прагматикаというのは会話の含意の解明であり、ジョークのオチや比喩の本質の解明の手段でもあり、文脈に依存する。これが文脈に依存しない意味論との違いである。語用論では、話し手こそが言葉の宇宙の中心をなし、人称体系の中心は「私」であり、空間体系の中心は「ここ」であり、時間体系の中心は「今」であると教える。語用論の入門書を読む限り、英文和訳において、文学作品のニュアンスを正確に理解するために語用論を活用しているように見える。つまり日本語とロシア語の語用論を研究すれば、露文和訳、つまりロシア文学の翻訳のニュアンスをより正確につかめるということになる。私自身は、露文解釈にも興味はあるが、語用論を和文露訳に活かし、多くのロシア語学習者がロシア人に聞かなくても正しいロシア語が話せるようになればよいと考えている。正しいロシア語かどうかはロシア人に聞けば教えてくれるだろうが、元の日本語からの正しい露訳なのかとか、見てもらうロシア語がロシア人に直された場合、間違いの理由は何かということに文法的に日本語で答えられるロシア人はほとんどいないだろうし、それでは学習上の進歩が望めないと思う。
設問)「このサインペンはよく書けない」をロシア語にせよ。
Этот фломастер не
хорошо пишет.
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正解です。ただне とхорошоはくっつけるべきだとは思いますが。私の答えは、Этот фломастер плохо пишет.
英語でいう能動受動態の例で、第464回本文の復習。
Этот фломастер плохо пишет.
ロシア語に関する語用論(практика はпрагматикаのタイプミスでしょうか?)的な情報を得られるところは本当に少ないので、このサイトはとても勉強になります。
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正解です。すみません。ぼけてきたようです。語用論はタイプミスで早速直します。
Фломастер плохо пишет.
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正解です。
Эта ручка не очень хорошо работает.
Эта ручка не очень хорошо пишет.
С этой ручкой плохо пишут.
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ручкаというのはペン、万年筆、ボールペンを指しますが、サインペン(フェルトペン、商標のマジックインク)という意味はないと思います。構文的には2番目が正解です。最初のは漠然とした感じで、3番目のсは「~関して」ということでしょうが、ручкаなので、手に持ってということにもなるので、個人的ですが、呪い!?というような感じすら受けます。
よく使いそうなフレーズなのに、難しいです。
とっさに思いついたのは~хорошо не работает.でしたが:
Это фломастер не пишет.
Это фломастер не идет чернил.
Это фломастер плохо пишет.
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難しいとおっしゃる割には、簡単に正解が出ています。3番目が正解です。最初のは「書けない」ですから、違います。二番目のはインクが出ないと言おうとしているのでしょうが、それならидтиが他動詞となりおかしいことになります。чернила не текут из головки(ヘッドからインクが出ない)という表現は知っていますが、чернила не идутというのは、ないことないと思いますがどうでしょう?