2012年11月23日
●和文解釈入門 第553回
(247) 「回想 音楽の都 私のモスクワ」、小野光子、朔北社、2011年
1956年から1960年までモスクワ音楽院にソプラノとして留学、1965年から69年まで60回のソ連演奏旅行をした音楽家の自伝。当時のソ連音楽界の様子や、特にリヒテル夫妻との暖かい交遊関係は貴重な証言でもある。チャイコフスキーコンクールの審査委員もなさったので、その実際の採点法など興味深い。
設問)「呼ぶまで来るな」をロシア語にせよ。
(1) Подожди, пока я
позову тебя.
(2) Не приди, пока я не
позову тебя.
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発想の転換ということで、(1)はよいと思うのですが、(2)は直訳すると、「呼ぶまでうっかり来るなよ」という感じで、日本語でもロシア語でも変な感じです。動作自体を否定するわけですから不完了体が来ないと非常に不自然です。私の答えは、Не ходи ко мне, пока не позову.
Не приходи сюдаでもよいかもしれないが、これだと訪問禁止のような気がする。не ходиだと立ち入り禁止という感じである。
「~までは」というのは、普通はпока + не + 完了体未来形が普通だが、ждать, подождатьはпока + 完了体未来形が多いが、無論неをつける例もよくある。完了体未来形がくるのは、例示的用法で、動作がいつ行われるか未定だからであろう。
Не заиди, пока не тебя позовут.
「出番が早いぞ」って、こんな風に訳した記憶が。несов? сов?
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基本的な体の使い分けが理解されていないようです。
Не приходи, пока я не позову.
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正解です。