2012年10月20日
●和文解釈入門 第519回
何年か前、ある通訳の方から、ロシア語研究者の集まりで、ロシア人研究者の講演の通訳をした話を聞いた。その通訳の方曰く、通訳の仕事があるのは結構なことだが、皆、ロシア語の専門家なのだから、少なくとも講演に関するロシア語については、話せるかはどうかは別にして、専門文献をロシア語で読んでいるはずなので、通訳は要らないはずなのにと不思議がっていた。思うに、ロシア語の専門家といっても、ロシア語は読めるが、会話や聞きとりはダメという人もいるだろうと思う。ロシア語を学校で教えていないのなら、それでも構わないと思う。ただ、ロシア語を教えていて、日常会話や、自分の専門分野(例えば、ドストエフスキー、体の用法、ロシア語教育論)などを、同じ分野のロシア語研究者と意見交換ができないというのであれば、教わる生徒の方が納得しないだろうとは思う。ただ会話は教えないのだから、ロシア語は話せなくてもよいというのはおかしい。何も専門外の技術通訳や、政治・経済の通訳をせよということではないのだ。自分の専門についてロシア語でロシア人の専門家と意思疎通できなければ、研究内容や質の向上は望めないと思う。ドストエフスキーは日本で人気のある作家で研究されている方も多いと思うが、必ずしもロシア語の原文を通じてとは限らないと思う。そういう研究者の方のことを言っているのではなく、ロシア語原文でロシア関係の研究をする方についての話なので、誤解されないようお願いする。
そのときはそう思ったのだが、確かにその専門分野の文献が読めて、ロシア人研究者の同じ専門の話を聞きとれないというのは、努力不足だろうと思う。話すのは難しいかもしれないが、文献が読めて、その文献と同じような内容が聞き取れないというのは、少し耳慣らしをすればできるようになるはずである。ちなみに、その講演会での質疑応答というのは、あまりなく、あっても通訳を通じたのがお義理に2、3つあった程度だという。
設問)「本当かどうかは保証の限りではありません」をロシア語にせよ。
(1) Я не полностью
уверен, что это разве
правда.
(2) Я не могу
гарантировать с
полной уверенностью,
что это на самом
деле правда.
--------------------------------------------
(1)のразвеと(2)на самом делеはない方がよいと思います。あると、くどい感じがします。私の答えは、Не ручаюсь за верность.
「確かなことは分かりません」としても同じ。
Правда или неправда, невозможно утвердить.
---------------------------------------
утвердить = подтвердить истинность, достоверность(この場合のутвердитьには対応の不完了体はない)ということで、正解です。