2012年10月14日
●和文解釈入門 第514回
(230) 「英国人写真家の見た明治日本」H.G. ポンディング、長岡祥三訳、講談社学術文庫2005年)
ポンディング(1870~1935)は英国の写真家。本書の中に「外国人の見物客が大仏の手に登ったりして、馬鹿げた不敬な悪ふざけをしたために…」写真を撮るのが許可制になったと記されている。これは1901~02年ごろらしい。つまり写真機が一般的になってから、外国人のこういう悪ふざけがはやったものらしいとあるのは興味を覚える。
設問)「彼女は舞踏会では御主人とペアで素晴らしい踊りをみせた」をロシア語にせよ。
На балу она показала
прекрасные танцы
парой со супругом.
-------------------------------
парой, со супругомではなく、в паре, с супругомです。私の答えは、Она на балах прекрасно танцевала в паре с супругом.
これはエカチェリーナ1世とその夫であるピョートル1世の話である。
на паруでもよいが、口語である。力点はа。
(お題)
彼女は舞踏会では御主人とペアで素晴らしい踊りをみせた
(コーシカ訳)
Она на (танцевальном) вечере в паре с ее мужем прекрасно станцевала.
・過去の出来事について語っていると思われる
・踊りが素晴らしかったことに力点がある
よって完了体過去、と判断しました。
気になる点:
・語順
日本語の通りに並べましたが
Она прекрасно станцевала...
とするほうが自然なようには感じます。
・動詞は単数?複数?
彼女が主語なので-лаで〆ましたが
踊っているのは二人ですからстанцевалиが正しいような気もします。
・彼女と御主人
今回は「ペア」という語が入っているのでпараが外せませんが、
ただ単に「彼女と御主人が一緒に」という場合はМы с Вамиのように
Они с ее мужемといった言い方は実際の用法としてありうるのでしょうか。
またお教えください。
----------------------------------------
・完了体過去形の結果の評価を使っても(具体的1回の行為)、反復(毎回素晴らしく踊った)という意味の不完了体過去形を使っても、設問の和文からはどちらでも可能です。
・語順は和文の通りにする必要はありません。それよりも和文が普通の(取り立てて何かを強調しない)なら、ロシア語もロシア語として普通の語順にすればよいと思います。
・動詞が単数か複数かどうかは、主語が単数かどうかによると考えるのが普通で、主体がонаなら単数とすべきです。
・они с её мужемの解釈は、
彼らと彼女の夫、彼女たちと彼女の夫、彼と彼女の夫、彼女と彼女の夫、彼と彼女と彼女の夫・・・という風に、いろいろな解釈が可能です。目の前の夫婦のことかもしれないし、そうでないかもしれないというような曖昧な表現は使うべきではないと思います。мы с нимにしても、文脈によって二人と分かる、目の前にいて、私と彼以外に他の可能性が考えられないという場合に使うのが普通です。
Она на бале показала прекрасный парный танец с мужем.
-----------------------------------------
日本語でもペアダンスという言葉がありますから、意味は分かるでしょうが、舞踏会で踊るのはペアでですから、ペアでとした方が自然だと思います。これだとダンス大会で、シングル、ペア、群舞の部門というような感じを受けます。