2012年09月28日
●和文解釈入門 第497回
(222) *「黙移」(相馬黒光自伝)、平凡社、1999年
相馬黒光(1875~1955)は新宿中村屋の設立者で、盲目のロシアの詩人エロシェンコやインドの志士ボースを匿い、そのために長女を嫁にやったのでも有名である。大義親を滅すというが、大義娘を滅すか、娘の意向をあまり考えなかったようで、当時の開けた女性の限界でもあろう。ロシアチョコレートやロシアパン、月餅、印度式カレーを売り出した。しかし姪(母の妹の長女)が佐々城信子であり、国木田独歩と結婚し、結局厳しい監視に耐えられず家を出た、その内情について語っている方がより興味深い。独歩は信子を生きがいのように、いつまでも未練がましく思い、というよりはむしろ、彼の生きがいである小説の糧でもあったようでもある。森田草平が平塚らいてうと1908年心中未遂である塩原事件を起こした時も、初めから小説にするつもりいたのと同じと思われる。芸術のためなら何でも許されるとして、アイデアが出ないから現実に情死のまねごとしてみせたのだが、禅の悟りを得ている(見性者だった)らいてふとでは格も覚悟も違ったのは、喜劇ですらある。閑話休題、信子とのことは親友の花袋の「東京の三十年」にも述べられている通りである。信子の方はさっぱりしていて、当時の世間からはいろいろ指弾されたようだが、独歩よりよほどにさばさばしたまともな人柄のようで好感が持てる。
設問)「論理的にはそうなる」をロシア語にせよ。
(1) Это теоретически
верно.
(2) Теоретически так
должно быть.
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正解です。二つとも肯定的なとらえ方で、そういう解釈もありうるでしょう。私の答えは、どちらかというと、論理的にはそうかもしれないが、感覚的には違うというニュアンスをもたせたものです。Логика подсказывает, что так.
По логике получается так.
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正解です。