2012年09月27日

●和文解釈入門 第496回

(221) 「硬石五拾年譜上巻」、内田良平、日本人の自伝第11巻所載、平凡社、1982年
 烈士であり、柔道家であった内田良平(1874~1937)の日露戦争までの自伝。1892年東邦語学校にてロシア語を学ぶと同時に講道館に入門し、広瀬武夫と親しくなる。1897年ロシアの内情調査のため自発的に西シベリアを往復した。あまりロシア語はできなったらしい。ブラゴベシシェンスク、ストレーチェンスク(日本人経営の女郎屋が2軒あったという)、ネルチンスク、チタ、イルクーツク、モスクワ、ペテルブルグを往復した。ネルチンスクを過ぎたあたりで、御者の発するヨッポイマーチ(Fuck your mother.)という言葉に、別の馬車のロシア人が頭に来て、彼らの喧嘩に巻き込まれたが、得意の柔道で投げ飛ばして事なきを得たという。ロシア人や中国人との格闘の場面多いが、全部勝ったようである。モスクワでは林菫公使が「西郷や頭山の如き豪傑を好まず、大久保、福沢先生の如き人に私淑せり」との発言に、反論して大いに論じている。中村久弥のフィリピン独立用兵器代金横領事件など宮崎滔天の自伝「三十三年の夢」と併せて読むとなお面黒い。大宅壮一の「昭和怪物伝」(大宅壮一全集第13巻、蒼洋社、1981年)所載の児玉誉士夫について、児玉は終戦において天皇退位を主張し、天皇は神ではなく、国の中の一つの組織であり、制度であると述べたとあるが、そうであれば右翼といってもいろいろあって、浅沼稲次郎を刺殺した山口二矢(「テロルの決算」、沢木耕太郎ノンフィクション第7巻所載)のような純粋というか観念右翼とは違うのだなという印象を得た。

設問)「回りで何が起きているのか、彼はすぐには分からなかった」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年09月27日 08:08
コメント

Он сразу же не имел понятия, что вокруг
происходило.
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иметьは状態の動詞です。「すぐに」と「理解を持っている、理解している、分かっている」というのは語結合としておかしいと思います。私の答えは、Он не сразу понял, что вокруг него происходит.
体の使い分けの判断もいろいろで、アオリストや結果の現存と考えても、また主観的・客観的のどちらかという観点で考えても、選択は完了体ということになる。

Posted by ブーチャン at 2012年09月27日 09:51

Он сразу не понял, что происходит вокруг него.
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正解です。ただ個人的な見解としてですが、設問で言わんとすることは、「分かった」ということですから、сразу не понялのように動詞を否定すると、「分からない」というふうに理解される恐れがあるように思います。それで、動詞ではなく、副詞にнеをつけて、動詞自体は「分かった」というふうにするのがロシア語として違和感がないのうに思います。一方日本語には副詞の呼応というのがあって、「すぐには」と来れば「~ない」が呼応するために、この文の本質的意味において、動詞が「分からない」というふうに誤解されることはないと考えます。

Posted by аяка at 2012年09月27日 13:12

Он сразу не понял, что вокруг него происходит.
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正解です。аякаさんへのコメントを参照ください。

Posted by Ml at 2012年09月28日 06:19
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