2012年09月24日

●和文解釈入門 第493回

原求作先生が小説家としての第4作「皇女タラカーノワ」(鳥影社、2012年)を上梓された。タラカーノワについては、私も「ロシア奇聞」(東洋書店、ユーラシアブックレット No. 145)に詐欺師列伝の中で、どんな人物だったのか簡単に書いたので、非常に興味深く読んだ。エカチェリーナ2世の時代、プガチョーフはピョートル3世の子を僭称し、タラカーノワは、ヨーロッパを経巡って、エリザベータ・ペトローヴナ女帝の隠し子を名乗ったわけだが、謎の女である。小説家メーリニコフの資料では、そばかすがあったようだが、色は黒からず、白からず、目が大きい美人とあり、傾城の美女だったようである。何人も男が群がり、彼女の贅沢のおかげで破産した男も多数いたようである。このような女の魅力を、先生は、「(タラカーノワは)、生まれつき(右目が少し)斜視だった」とし、斜視が男を引き寄せる魔力の源だとしているのは、小説とは想像の産物とは言っても、単に美人であるだけでは、なぜ何人もの男が彼女の魅力から逃れられなかったのかが分からないわけなので、それに斜視を使ったというのは、すごいなと思う。斜視の女性は、程度の問題もあるが、見られる相手と焦点がずれるので、その相手とすれば、見られているような、そうでないような何か不思議な色気をおぼえるというのも聞いたことがあり、なかなか説得力のある設定である。ロシア史の裏面に興味のある向きは一読を!

設問)「その設備は生産中止となりました」をロシア語にせよ。

Posted by SATOH at 2012年09月24日 07:39
コメント

(1) Это оборудование
было снято с
производства.

(2) Производство
этого оборудования
прекратилось.
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設問は厳密に言えば、二つ解釈ができる。その設備が今現在生産されていない、ないしは生産されている(かもしれない)である。ただ、通訳の現場で考えれば、メーカーの工場、ないしはメーカーへの問い合わせで、この設備はまだ生産していますかという質問はよくありがちである。これに対して設問のように答えたとしたら、今現在生産していないとしか理解できないはずだ。本コーナーでは何度も書いているように、短文のために文脈が分からない場合もある。そのときには、一般的にはこう考えるとか、具体的にこういう場合には、こういう訳(こういう体を使っての)にするという風にして回答を作らないと(回答に反映させるかどうかは別にしても)、ロシア語がうまくならないように思う。文脈によって和文露訳が変わることは当然であって、それがよく分からなければ、通訳しているときに、こういう理解でいいんですねと確認してから通訳することになるからである。
 お答えの(2)は完了体過去形の結果の現存だから、今現在生産されていないと理解できるので正解。(1)はロシア語としては、ロシア人が使うロシア語なのだが、これでは、一旦生産中止したのだが、今現在生産開始したのか、中止しているままなのか分からない。もっというと、問い合わせがあったときに、メーカーはこんな曖昧な返事はしない。商売に直結しているからだ。被動形動詞過去短語尾の結果の現存については、城田先生が、最小限、「現代ロシア語文法」(東洋書店)で書いているぐらいである。これは露文解釈をする上で、設問の和文を見ても分かるように、特に区別する必要がないからである。ところが和文露訳をするときには、どちらかを明確に理解していないと、通訳やガイドをするときに、間違えると、その間違いがすぐ分かり、ロシア人の信頼を失うことがままあるということになる。和文露訳入門では3-2-1-2と3-2-1-3で取り上げている。私の答えは、Оборудование снято с производства.
被動形動詞過去短語尾の結果の現存の用法。生産中止となったのだから、今生産はしていない。

Posted by ブーチャン at 2012年09月24日 08:29

Производство оборудования прекращено.
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正解です。

Posted by Ml at 2012年09月24日 18:31
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